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イスラエルのサイバー関連イベント
サイバー攻撃対策ソリューションが一般化したことで、サイバーセキュリティに特化したイベントが世界で数多く開催されています。
その中でも長い歴史を持ち何よりもサイバー先進国のイスラエルが主催している、学術的なイベントがCyber Week(Annual International Cybersecurity Conferenceが正式名)(米国のBlack Hatのようなアカデミックなイベント)、大規模な展示会イベントがCyberTech(米国のRSA Conferenceのような商業的なイベント)になります。
Cyber Weekは2011年*1よりテルアビブの中心から電車で一駅、車でも15分位の丘の上にあるテルアビブ大学にてサイバーセキュリティの専門家、業界リーダー、新興企業、投資家、学者、政府関係者などが一堂に会し、知識、手法、アイデアなどの示唆に富む交流が行われています。
イスラエルの国土安全保障ソリューションの展示会であるHLS*2(Home Land Security)は2010年から隔年で開催されており、4回目の2016年からはHLS&Cyber*3に改名して開催されています(2020年はオンライン開催でした)。
私は、2016年、2018年と2回連続で参加しましたが、HLS側(およびサイバー側に分かれています)の展示では戦車類、火器類、ドローンなど通常触れ合う事のない物が展示・説明されており業務には関係ないですが、個人的にはとても興味深く、大変勉強になりました。
サイバーに関しては、国土安全保障向きで規模的にはCyberTechの半分以下の印象です。
最初は「えっ?IWIが出展してる??」と思いブースに行き、違う会社であったのと展示してある銃器を手に取ることができたので興味深く拝見しました。
CyberTech Global
2014年1月23日にダボスで開催された国際経済フォーラムにて演説をした元首相ネタニヤフ氏が、イスラエルがイノベーション国家でありテクノロジーを利用した攻撃から産業を守るために蓄積してきたノウハウを世界と共有すると演説をしました*3。
またその翌日に開催されたRisk and Responsibility in a Hyperconnected World(ハイパーコネクテッド・ワールドにおけるリスクと責任)と題したサイバー問題に関する特別会議では、「ハイパーコネクテッド・ワールドでは、無限のチャンスがあり、その環境自体が容赦ない攻撃にさらされており、世界的な脅威であり対処しなければならない」と述べました。
これを受けて、2014年1月27日に開催されたテルアビブのイベントがCyberTech 2014*5です。
CyberTech Global(メインの展示会をGlobalと呼んでいます)は、2014年以降、毎年Tel Avivで開催され(※2021年はイスラエルと国交樹立したUAEにて開催)、またその他海外ではヨーロッパ、北米、アフリカ、アジアなどで開催されている世界的なイベントです。
テルアビブでは昨年コロナ禍のために開催できず、代わりにUAEでの開催だったため、次回は2年ぶりとなります。2022年1月25、26、27日の3日間で開催の予定です。
私は2015年のCyberTechから(2021年を除き)毎年参加しており、その度にイスラエルのサイバー攻撃に関する取組みや、スタートアップ企業の素晴らしいソリューションに出会う事ができました。
最新のサイバー攻撃のトレンドを感じられるイベントとしては他のイベントとは一線を画しているのではと思います。
CyberTech 2020の会場
CyberTech Tokyo
CyberTechは日本でも開催されています。一回目は2017年11月30日にホテルニューオータニで行われ非常に盛況だったという事で、2018年は11月29、30日の2日間、そして2019年に11月26、27日の2日間に虎ノ門ヒルズにて開催されました。
残念ながら2020年は、コロナ禍の為にオンラインイベントとなり、2021年は中止となってしまいました。
2018年の講演参加 / 2019年のパネル参加
2017年~2019年のCyberTech Tokyoでは当社の代表取締役が初日の午前中セッション、そして私自身も2018年ではセミナーセッション、2019年にはパネルディスカッションで参加させていただきました。
2018年の講演は日本語で出来たので良かったのですが、2019年のパネルディスカッションは他の2名がイスラエルの方だったので、英語で話すしかなく、緊張しつつも非常に思い出深い出来事でした。
2022年はコロナ禍が余程の状況でない限りは開催されると思います。ただし、オミクロン株を始めコロナ禍によりどうなるかは不明です。
CyberTech の特徴
私はテルアビブと東京のCyberTechのみ参加したことがありますが、特にテルアビブではスタートアップ企業が年々増加し、2020年には70社以上のスタートアップが参加していました。
その為か2018年頃まで行われていた、学生や研究者による小規模なセッション(非常に興味深い内容でした)が無くなってしまったのは残念です。
一方で、非常に多くの参加しているスタートアップ企業は案内パンフレットに記載されている説明を読んでも一体何をしているのか、どんなソリューションなのか良く分からないために話を聞いて回る必要があるのですが、本当に面白いと感じる斬新なソリューションは少なく、多くの場合は2番煎じ的だが新しい機能やメリットを訴求している、という感じでしょうか。
勿論、有名になった企業や既に立派な企業に成長しているベンチャー、IBM社やマイクロソフト社の様にイスラエルに進出しているエスタブリッシュメント企業などは大きなブースを構えています。
Blog「イスラエルでの活動」にて、イスラエル企業を探し出す方法の1つとして、CyberTechと簡単にご紹介しました。CyberTechには下記の目的で参加しています。
- 既に知っているスタートアップにCyberTechで会い、再度話を聞くことでより内容を理解したり、そのスタートアップに携わっている人となりを見る
- CyberTechで見つけた面白いソリューションの話を聞く為に、知らない人や転職してしまった人と連絡先を交換して後日訪問する
- パートナー企業の友人が転職した先のスタートアップ企業のブースに行き、新しいスタートアップのことを詳しく聞く
という事をやっています。トレンドを知ることや、人脈を広げるために非常に有意義なイベントだと思います。
CyberTechのスタートアップエリア
CyberTech Global 2022
始めにご紹介したようにCyberTech Global 2022は、当初2022年1月25、26、27日にてイスラエル鉄道の線路を挟みテルアビブ大学の逆側にあるコンベンションセンターで開催される予定でした。
当社も本来なら参加を予定していましたが、本Blogを執筆している間にオミクロン変異種の感染拡大が進んだため、日程が3月1日からに変更になりました。
(なお、世界的な変異株の拡大のため、イスラエル保健省(日本の厚労省に相当)の入国ルールおよび日本政府のブースター接種のルールにより私は月後半から2月後半でのイスラエル入国が出来なくなってしまいました。※2022年2月14日時点)
CyberTech Global 2022に先駆けて、2022年2月17日の日本時間14時~19時30分にCyberTech Tokyo*6がオンライン開催されています。
本Blog執筆は2月14日のために参加前ですが、日本政府のデジタル庁、経産省、総務省ほか政府・大学・各企業の要人、イスラエル政府の政府・企業要人のセミナーがあるようです。
出典 (参考文献一覧)
※1 Israel Ministry of Foreign Affairs|3rd Annual International Cyber Security Conference(参照日:2022-02-14)
※2 Defense Update|1st Israel HLS Conference(参照日:2022-02-14)
※3 Defense Update|World's First Explosive Detection Drone Unveiled at Israel's HLS & Cyber Event(参照日:2022-02-14)
※4 Israel Ministry of Foreign Affairs|PM Netanyahu attends conference of global information technology leaders 23 January 2014(参照日:2022-02-14)
※5 Israel Ministry of Foreign Affairs|Cybertech 2014(参照日:2022-02-14)
Israel Defense|CyberTech 2014: Preliminary Recap(参照日:2022-02-14)
※6 PR TIMES|『CybertechLive TOKYO 2022』(2022年2月17日)タイムテーブル決定!(参照日:2022-02-14)