株主の皆さまへ

2019年6月期の振り返り

(2019年9月)
  売上高は前期に引き続き100億円を超える実績をあげることができました。当期は、特定の顧客向けの大型開発案件の売上が減少しましたが、その他の顧客向けの開発案件とクラウドサービスの売上が増加した結果、前期並の実績を確保することができました。
 営業利益は対前期で約70%増の大幅増益となりました。金融システムソリューション事業においては、不採算案件の発生がなかったことに加え、受託開発案件の利益率向上や収益性の高い当社製パッケージ製品の売上増加、クラウドサービスの損益改善などが寄与しました。さらに、セキュリティ製品を扱うプロダクトソリューション事業が黒字転換を果たしたことも、全体の利益を押し上げる要因となりました。
 今後も、スマートフォン決済をはじめとする決済手段の多様化や決済事業者の新規参入を背景に、キャッシュレス決済に関連する開発案件の需要は堅調に推移すると見込んでいます。当社はこれまでクレジットカードの決済領域を中心に、大量の通信データをリアルタイムで正確かつ安全に処理するネットワーク接続や、ネットワーク間のスイッチング機能、認証システム、および不正検知システムを提供し、それぞれ業界標準として圧倒的な信頼を得てきました。これらの強みを活かしながら、キャッシュレス化の進展を追い風として、さらなる成長を続けていきたいと考えます。
 

新中期事業計画の策定

 2019年6月期の業績および足元の事業環境をふまえ、新中期事業計画を策定しました。昨年策定した旧計画から成長基調は変わらないものと考えており、新計画3年目となる2022年6月期には、売上高120億円、営業利益12億円、営業利益率10%を目標として掲げています。新計画における3ヵ年は、「売上高100億円超、営業利益率10%」を常態とするべく足元をしっかりと固め、すでに見えはじめている成長の兆しを確かなものにするための期間と考えています。この計画値は、既存ビジネスの成長を主としたものですが、現在計画している新商材の投入を早期に実現することで、さらなる業績の拡大を目指します。
 

次なる成長を支える新商材、サービス

 次なる成長を支える新商材やサービスとして以下の3点を重点施策に位置づけており、各施策とも順調に進捗しています。
①クラウドサービスの拡充
 クレジットカード加盟店契約業務の「IOASIS(アイオアシス)」が、大手地銀に採用されることが決定しました。通算5社目の採用となり、今後さらなる利用拡大が見込まれています。不正検知システムの「IFINDS(アイファインズ)」やスイッチング機能の「IGATES(アイゲイツ)」も着実に引合いが増えています。
②主力事業領域における次世代製品の開発
 国内で決済ネットワークの業界標準として圧倒的なシェアを有する「NET+1(ネットプラスワン)」ですが、市場や技術の変化をふまえ、現行の標準的な製品機能の見直しを行っています。加えて、既存の国内ネットワークのみならず、海外を含めた新たなネットワークへの接続や、金融以外の領域への参入、ブロックチェーンなど新技術への対応を視野に入れた「次世代NET+1」の開発を行っています。
 不正検知システムについても、主力製品である「ACEPlus(エースプラス)」の改良作業と並行して、オンライン決済などの非対面取引に強みを発揮する、A Iを活用した新不正検知システム「FARIS(ファリス)」の開発を進めています。
 新製品はともに年内の完成を予定しています。特に「FARIS」は実証実験が目白押しで、相当数の利用が見込めるという手応えを感じています。また、「FARIS」に搭載する最先端の不正検知機能を、「ACEPlus」や「IFINDS」にオプション機能として盛り込むことも計画しています。
③新領域への技術転用
 当社が強みとする大量データを安全かつ高速、確実に届ける技術を新領域へ転用した、放送事業者向けの新製品「IPフローモニタリングソリューション」の提供を開始しました。東京オリンピック、パラリンピック開催に向け、4K、8K対応テレビの需要が見込まれるなか、放送設備のIP化や新しい放送信号の監視システムが求められています。国内放送事業者の協力のもと開発した同製品は、これまでに類を見ない製品として、国内にとどまらず海外の放送事業者からの引合いも期待できます。まずは放送のIP化が先行している欧米での展開を視野に入れ、今秋以降、海外の展示会への出展を予定しています。
 

未だ見ぬ変化に好奇心を持って臨む組織へ

 持続的な成長を実現するためには、常に新しいことに積極的に取り組む「進取の気性」を携えた技術者集団へと会社を進化させることが必要です。既成概念にとらわれることなく新たなサービスを創出するためには、人材の確保と育成が重要な経営課題であると考えます。現状維持にこだわり、リスクを冒さない企業に成長はありません。新しいことに挑戦し、自ら変化を起こしていく気概を持つ、好奇心旺盛な人材にあふれる会社にしていかなければなりません。その実現に向けて、人材の採用プロセスを見直すとともに、新たな育成プログラムを構築しました。
 また、性別、国籍、年齢など、多様な個性を有する社員一人ひとりにとって働きやすい環境づくりにも努めています。具体的な施策としては、テレワークや裁量労働制、勤務間インターバルといった各種制度の導入に加え、リフレッシュスペースの増床や朝食の支給、フリーアドレス制の採用などを実施しました。これらの施策によって生産性が上がり、全社の時間外労働も削減されました。削減された費用は社員に給与として還元しています。自らの働き方を自分自身でより柔軟に選択できる環境を整えることが、「進取の気性」の浸透や人材の定着、生産性の向上につながっていくものと確信しています。
 

株主の皆さまへのメッセージ

 当社は、2019年3月に東京証券取引所市場第一部へ指定されました。上場に向けた準備を開始しておよそ3年、当初の計画どおりに実現できたことは、非常に価値ある成果であると捉えています。社員一人ひとりが、東証一部上場企業の一員として誇りを持ち、日々の業務に取り組むことが、結果として企業価値のさらなる向上につながるものと期待しています。
 長期的な成長に向け、次なる攻めの一手を打ち続けていくとともに、公平かつ公正を意識した企業経営を堅持していきますので、引き続きご支援いただけますようお願い申し上げます。