経営理念

井関 司

代表取締役会長

井関 司

 国内では、まだクレジットカードのオンライン決済が広く普及していなかった1989年、当社は業界に先駆けて、大量のクレジットカード決済データを正確かつリアルタイムに処理するネットワークゲートウェイシステムを確立しました。その後、決済業務に必要なクレジットカードの認証機能や不正検知機能をもつシステムの構築業務へと業容を伸ばし、社会的に重要なインフラストラクチャ(IT基盤)である決済システムの提供者として、顧客からの信頼を得ています。近年、日本国内でキャッシュレス社会の進展は加速し、事業機会は拡大を続けています。当社は、「次代の情報化社会の安全性と利便性を創出する」ことを経営理念に掲げており、それに則って「高速、安全、高品質で利便性の高いIT基盤を提供する」事業を推進することによって企業価値を高め、社会に貢献することを経営方針に掲げています。

 当社は、持続的な成長を実現するために、主要な収益源であるシステム開発業務の規模拡大と、新製品や新サービスの創出による収益拡大に積極的に取組む方針です。
2016年からサービスを開始した当社のクラウドサービス事業の売上高は、アクワイアリング業務(加盟店契約業務)のシステムをクラウドで顧客に提供する「IOASIS(アイオアシス)」を代表として、順調に成長しています。システム開発業務と異なり、クラウドサービス事業は、継続的に一定の収益が期待できるサブスクリプション型の収益構造に特徴があります。当社は、今後もこうした収益形態の製品やサービスを充実させることで、安定的な収益基盤の拡大を進めていきます。

 新製品の事例として、国内で高いシェアをもつ当社製パッケージソフトウェア「NET+1(ネットプラスワン)」の機能を基礎として、カード決済だけでなく、様々な用途のデータ処理のためにネットワーク接続機能を担う「次世代NET+1」の開発が完了しました。さらに、ネットワーク接続だけでなく、カードの使用認証等、付加価値をつけた機能を搭載したシステムを構築し、顧客にクラウドサービスとして提供する「フロントシステム共同化」構想の検討も始めています。
 ネットワーク接続同様、当社が高いシェアをもつクレジットカード会社向けの不正検知システムについては、AIスコアの活用により処理能力と検知精度を向上させた新製品「FARIS(ファリス)」の開発が完了しています。
 情報セキュリティ対策事業については、「セキュリティ統合プラットフォーム」の構築を検討しています。内部情報漏えいを防ぐ当社製品「CWAT(シーワット)」と他社のサイバーセキュリティ対策製品の機能を組み合わせることで、顧客が自社の環境や対策の優先度に応じて、必要な期間に限って必要な機能を利用できるサービスの提供を計画しています。
 新市場の開拓が期待される製品として、「EoM(イーオーエム)」の開発を完了しました。当社が強みとする、大量データを高速かつ確実に届ける技術を放送データのモニタリングソリューションとして転用した製品であり、放送データのIP化に対応した製品の需要が見込まれる放送業界、番組製作者向けの新製品として、国内、海外の放送事業者からの引合いも期待できます。さらに、EoMの開発を通じて得た知見を活かし、FPGA(Field Programmable Gate Array)の技術を活用した新たな分野での製品開発構想も進行しています。

 このように、新製品や新サービスを絶えず創出し続けるためには、社員一人ひとりが新しいことに積極的に挑戦する、進取の気性をもった技術者集団へと会社を進化させることが必要です。多様な価値観を有する人材を広く採用し育成するとともに、社員が各々の個性を充分に発揮できる、働きやすさと働きがいの両面を備えた企業風土を作りあげることが、経営者としての重要な責務であると強く意識しています。

 私は、長期的に、顧客の要求、仕様に基づいて個別にシステムを開発するフロー型ビジネスというべき受託開発の業務は減少していくものと見ています。この想定の下、当社は事業構造を転換し、売上高全体に占めるストック型ビジネスの割合を拡大することで、持続的な成長を実現していく考えです。
 当社に脈々と受け継がれる「止まらないIT基盤」を追求する思想と技術は、より長期的には金融業界のみならず、あらゆる業界で幅広く活用いただけるものと確信しています。
 当社の成長の過程を、社会のより多くの方々に見守っていただき、その喜びをともに分かち合えるよう誠心誠意、邁進してまいります。

2020年9月