DLPとは?情報漏えいを防ぐセキュリティの仕組み・種類・選び方をわかりやすく解説

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内部不正による情報漏えい
   

近年、転職時の情報の持ち出しや、メールの誤送信などによる情報漏えい事故が増えています。

企業の重要なデータが漏えいすると、技術情報の流出による競争力の低下や個人情報漏えいによる信頼の低下といった大きなリスクにつながります。

こうしたリスクを防ぐために効果的なのが、「DLPセキュリティ」です。

本記事では、DLPセキュリティの基本から、種類や選定ポイントまで、わかりやすく解説します。

目次

情報漏えいを防ぐDLP

DLPとは

DLPは、「Data Leak Prevention」の略で、企業が保有する重要な情報の漏えいを防ぐための仕組みやソリューションです。

すべてのデータを一律に監視するのではなく、守るべき重要な情報を識別し、そのデータに対して重点的に監視や制御を行う点が特長です。

例えば、機密情報を含むファイルをメールに添付して外部に送信しようとした場合に、自動的に検知して操作を制御することで、情報の持ち出しを未然に防ぐことができます。

なお、DLPは「Data Loss Prevention」と呼ばれることもあります。

この場合、Leakが外部への情報漏えいを防ぐことに重点を置くのに対し、Lossは情報の損失や消失も含めた、より広い意味での保護を指します。

いずれの場合も、企業にとって重要な情報を守り、漏えいや損失のリスクを最小限に抑えることが目的である点は共通しています。

情報漏えいを防ぐ仕組み

DLPセキュリティは、重要データの「特定」「監視」「保護」という3つのステップで情報漏えいを防ぎます。

重要データの特定

まず、保護すべき重要なデータを特定します。

あらかじめ設定した条件に基づき、設計書、財務データ、契約書などの機密情報を識別します。

データの識別方法には、Confidentialや社外秘といったキーワードや特定のパターン(正規表現)を用いた検知、ファイル自体にハッシュ値を付与して同一性を判定するフィンガープリント、データの重要度に応じてラベルを付与して管理する機密ラベルなどがあります。

これらの仕組みを活用することで、すべてのデータを一律に扱うのではなく、本当に守るべき情報を見分け、重点的な対策を行うことができます。

重要データの監視

次に、重要なデータの利用状況を監視します。

ユーザごとに「どのデータをどのように扱ってよいか」というルールを設定し、そのルールに基づき、データ操作を監視します。

あわせて、誰が・いつ・どの重要データに対してどのような操作を行ったかログとして記録し、データの利用状況を可視化します。

重要データの保護

最後に、情報漏えいにつながる操作を制御します。

監視の結果、設定したルールに違反する操作が検知された場合は、ファイルの印刷やコピー、外部への送信といった操作をその場で制御します。

これにより、データの持ち出しにつながる行為をリアルタイムで防ぐことができます。

なぜDLPが必要なのか?セキュリティ対策としての重要性

DLPセキュリティが必要とされている理由は以下があります。

経済安全保障の強化とデータ管理の重要性の高まり

重要技術や未公開の特許情報が外部に流出すると、軍事力や産業競争力に関わるリスクが生じるおそれがあります。

こうした背景から、技術情報を守ることは企業の責任であると同時に、国としても取り組むべき重要な課題となっています。

そのため、企業に対して技術やデータの管理を強化する動きは急速に広がっています。

20264月に経済産業省より公開された「技術流出対策ガイダンス第2版」*1では、企業の重要データの漏えい対策として、大量の印刷やデータのダウンロードといった通常とは異なる行動に着目し、技術流出につながるおそれのある行為を検知・把握できる仕組みの整備が有効であると示されています。

内部要因による情報漏えいの増加

近年、ランサムウェアなどのサイバー攻撃によるインシデントが多く報道されていますが、企業における重要データの漏えいは外部攻撃だけでなく、内部関係者によって発生するケースも少なくありません*2

そのため、情報漏えい対策ではサイバー攻撃への対策に加え、内部不正やヒューマンエラーによるリスクにも対応することが重要です。

営業機密の漏えいルートを示した棒グラフ。 外部からのサイバー攻撃が最も多く、従業員によるルール違反や不正な持ち出しなど内部不正も大きな割合を占めている。
図:営業機密の漏えいルート
独立行政法人情処理推進機構(IPA)|「企業における営業秘密管理に関する実態調査2024」調査実施報告書をもとにIWIで作成


経済安全保障の観点や内部要因による情報漏えいリスクの高まりを背景に、重要データの利用状況を把握し、不審な操作を早期に検知できるDLPセキュリティの導入は企業にとって不可欠となっています。

DLPの種類

DLPは、監視する対象や保護する場所に応じて、主に3種類に分けられます。

ネットワークDLP

ネットワークDLPは、組織と外部との間でやり取りされるデータ通信を監視します。

メール送信やWebアップロード、クラウドサービスへのデータ送信など、ネットワークを通過する通信を対象に、送信データの内容を確認しながらポリシーに応じて許可やブロックといった制御を行います。

企業全体の通信をまとめて監視・可視化できるため、外部とのやりとりが多い環境に適しています。

一方で、USBメモリへのコピーなど、オフラインでの持ち出しには対応できないため、エンドポイントDLPと組み合わせて利用されることがあります。

エンドポイントDLP

エンドポイントDLPは、PC上でのデータの操作を監視します。

印刷、メール添付、USBコピー、Webアップロードといった操作を監視し、不正な持ち出しや誤操作を防ぎます。

オンライン・オフラインを問わずユーザ操作の細かい制御が可能です。

導入時には端末ごとにエージェントをインストールする必要があります。

クラウドDLP

クラウドDLPは、クラウドサービス上で扱われるデータを監視します。

クラウド上に保存されたファイルや、メール・チャットでの送信、共有設定などを対象に、機密情報が含まれていないかを確認します。

クラウドサービス上のデータを一元的に監視・管理できるため、クラウド利用中心の業務環境においては情報漏えい対策を効率的に行うことができます。

ただ、あくまでクラウド上のデータを監視対象としているため、社内サーバやPC上のデータに対する監視・制御は限界があります。

DLPセキュリティの3つの種類の特長を比較

それぞれのDLPは、得意とする監視領域が異なります。そのため、自社の環境や保護したいデータの保管場所に応じて適切な種類を選択、または組み合わせて利用することが重要です。

 

ネットワークDLP

エンドポイントDLP

クラウドDLP

監視する
対象

組織と外部との間でやり取りされるデータ通信

 PC上でのユーザ操作

クラウドサービス上でのデータ利用

特長

 組織全体の通信をまとめて監視しやすい

オンライン・オフラインを問わず端末上の操作を監視・制御できる

クラウド上の保存データや共有状況を監視しやすい

向いている
環境

 外部とのデータ送信が多い環境

社内PCや端末内に重要データがある環境

クラウド利用が中心の環境

情報漏えいの経路は外部への送信に限らず、印刷やUSBメモリへのコピーといった端末内での操作にも広がっています。

通信経路の監視に優れたネットワークDLPでは、こうした操作を把握することが困難です。

また、重要なデータほどクラウドサービスへのアップロードはリスクが高く、社内のネットワークや端末内で管理されるケースも少なくありません。

クラウドDLPはクラウド上に保存・共有されるデータを主な監視対象としているため、社内サーバやPC内に保存されたデータの利用状況や持ち出し操作は十分に監視できない場合があります。

エンドポイントDLPは、経路や保存場所に依存せず重要データを起点に監視できるため、より強固な情報漏えい対策が可能です。

エンドポイントDLPを選ぶ時の比較ポイント

前述のとおりエンドポイントDLPは、PCにエージェントをインストールし、ユーザの操作を監視・制御する仕組みです。そのため、ユーザの操作や業務の進め方に直接影響する可能性があります。  

自社の環境に合ったDLPを選ぶためには、ユーザの操作や業務の進め方に直接影響する、という点を踏まえ、いくつかの観点で比較することが重要です。

ここでは、導入時に特に留意したいポイントを紹介します。

実運用を見据えた導入設計ができるかで比較する

導入前には、ユーザの重要情報取り扱い方法や流れを確認し、実際の運用を想定した設計を行うことが重要です。

導入後に業務を止めず、ユーザの操作性を維持するためにも、利用実態に合わせて無理なく導入設計できるDLPを選びましょう。

業務環境にあわせて柔軟なルール設定ができるかで比較する

事業部や拠点によって扱う情報の種類や業務の進め方は異なります。

使用するアプリケーションやデータの取り扱い方法も多様であるため、それぞれの環境に応じた管理が必要です。

導入設計の段階で把握した利用状況をもとに、業務ごとに必要な操作と制御すべき操作を整理し、ルールに反映することが重要です。

そのため、部署やユーザごとに加え、利用するサービスやデータの重要度、操作内容に応じてルールを柔軟に設定できるかどうかが比較のポイントとなります。

業務に必要な操作は適切に許可しながら、リスクの高い操作のみを制御できる設計とすることで、業務とセキュリティを両立することができます。

運用時のアラートの把握と管理のしやすさで比較する

エンドポイントDLPでは、PC上の操作を監視するため、大量のログやアラートが発生します。

その中で、優先的に対応すべき重要なアラートを適切に把握できるかどうかは、迅速な対応につなげるうえで重要なポイントとなります。

また、実際の業務では、アラートを見ても正当な操作なのか不正な操作なのか判断が難しいケースも少なくありません。

そのため、操作内容を分かりやすく可視化し、状況を正確に把握したうえでユーザへのヒアリングによる事実確認や、情報漏えいの有無・影響範囲の特定につなげられる仕組みであることも重要です。

情報漏えい対策にはDLPの導入が有効

企業活動における情報資産の管理の重要性が高まる中で、より強固な情報漏えい対策を実現する手段として、DLPセキュリティの導入は有効といえます。

インテリジェントウェイブが開発しているエンドポイントDLPソリューション「CWAT」は、PC上での操作をリアルタイムに監視・制御することで、情報漏えいにつながる操作を検知し、情報漏えいを未然に防ぐことができます。

CWATの特長

  • 印刷、メール添付、USBコピー、Webアップロードなど、エンドポイントを起点とする主要な情報の漏えい経路を監視・制御
  • 監視による利用実態の把握から開始し、状況に応じて段階的に制御を強化できるため、業務影響を抑えながら導入可能
  • 部署やユーザの利用実態に合わせたポリシー(ルール)設定により、部署・ユーザ・端末単位に加え、メール宛先やURLなどの条件に応じた柔軟な監視・制御
  • 通常操作を記録する「監査ログ」と違反操作を検知する「警告ログ」を分離し、優先的に確認すべきアラートを明確化することで、効率的な調査を実現 
  • キーワード検査による機密情報の識別・持ち出し制御と、検知キーワードを含むログ記録による不正操作の可視化・判断支援
  • 詳細な操作ログを取得できるため、実際の利用状況に基づいたポリシーの見直しや改善が可能となり、PDCAサイクルを回しながら継続的にセキュリティ対策を強化

情報漏えいリスクを低減しながら業務効率を維持したいとお考えの方は、ぜひ一度CWATの詳細をご確認ください。

DLPについてよくある質問

DLPはどのようにして情報漏えいを防ぎますか?

DLPは、あらかじめ定義したルールに基づき、機密情報を識別し、そのデータの利用状況を監視します。ルールに違反する操作が行われた場合は、アラート通知や操作のブロックを行うことで、情報の不正な持ち出しを未然に防ぎます。

具体的にどのような操作を防ぐことができますか?

DLPでは、情報漏えいにつながるさまざまな操作を制御できます。例えば、印刷、メール添付、USBコピー、Webアップロードなどの操作を制限・ブロックすることで、機密情報の外部への持ち出しを防ぎます。

DLPを導入すると業務が止まりませんか?

DLPは、すべてのデータに対して操作を制限するのではなく、あらかじめ特定した機密情報のみを対象に監視・制御を行います。そのため、通常業務で扱う一般データへの影響は少なく、業務効率を維持しながら情報漏えい対策を行うことが可能です。導入前にPoCを実施することをお勧めします。DLP導入に関するご相談はお問合せフォームよりお申込みください。

IT資産管理との違いはなんですか?

IT資産管理は、PCやソフトウェアなどの資産の管理・把握を目的とした仕組みです。一方、DLPはデータそのものに着目し、機密情報の持ち出しや不正利用を防ぐための仕組みです。 つまり、管理対象が「資産」か「データ」かという点が大きな違いです。

出典(参考文献一覧)

※1 経済産業省|技術流出対策ガイダンス第2版(参照日:2026-07-06)
※2 独立行政法人情処理推進機構(IPA)|「企業における営業秘密管理に関する実態調査2024」調査実施報告書(参照日:2026-07-06)