ウェルビーイングの向上
健康経営
当社事業において最も重要な経営資源は人財であり、その健康増進を進めることは当社の中長期経営目標や経営理念の実現に極めて有益です。当社が提供する製品やサービスは、いずれも社会にとって必要不可欠な機能を担うインフラストラクチャー(IT基盤)であるため、社員の健康増進の取組みを進めることは、IT基盤の安定的な稼働を保証するだけではなく、単に事業上のリスク管理の枠を超えて、製品やサービスの品質向上にも大きな効果が期待できます。
当社は2021年に健康経営宣言を策定し、社員一人ひとりの健康増進に向けた活動を強化しました。その結果、2022年には経済産業省ならびに日本健康会議が共同で実施する「健康経営優良法人認定制度」において、「健康経営優良法人(大規模法人部門)」に認定されました。さらに、2023年からは大規模法人部門の上位500社に与えられる「ホワイト500」に2年連続で選定されています。
健康経営宣言
当社は従業員が心身ともに健康であり続けるための取組みを推進してまいります。 |
推進体制
代表取締役社長を健康経営の責任者とし、2022年7月からは健康経営推進課を設けて、より一層の推進ができる体制としています。健康経営推進課は、健康経営の課題や取組み等について、安全衛生委員会や産業医、保健師等と連携しながら検討を進め、検討結果をサステナビリティ委員会に報告、共有します。検討された施策は各部や社員と連携し、社員一丸となって健康経営を推進しています。
戦略マップ
経営課題の解決につながる健康課題を解決するために、必要な目標指標を整備しています。また目標とする指標を達成するために、必要な健康投資および施策を整理して実施しています。
戦略マップ(PDF)
主な施策
1. 社員の健康づくりのための施策
社員の健康づくりのために、様々な取組みを進めています。特に社員の健康増進を定期的に観察し、また健康を害している状況があれば早期に発見することが、当社の最も重要な経営資源である人財を最大限生かすことにつながります。
また、社会一般でも課題となっている高ストレス者率の増加は、当社でも同様の健康課題としてとらえており、社員の働きやすい環境を各施策を通じて整えていくことが重要であると考えています。
そのような背景から、「定期健康診断受診率100%」、「ストレスチェック受診率100%」を目標とし、その結果数値を確認するPDCAサイクルをまわしていきます。
フィジカルヘルス対策
病気の早期発見のため、徹底した受診勧奨と 病気を放置させない取組みを行っています。当社の産業医、 保健師に意見を伺いながら、健康管理に活かせるオプション検査の会社負担化を進め、全社員の健診結果を確認し、ハイリスクと診断された社員には、保健師が面談を行い再検査や治療の重要性を説明しています。
健保組合と特定保健指導の重要性について話し合い、受診継続しやすい環境を整えることで、特定保健指導実施率も向上。2023年度実績は 41.8%まで伸び、全国平均26.5%と比べて約15%高い結果となり、社員自身の健康意識が高まっています。
施策例)
・35歳以上社員の生活習慣病健診および人間ドック費用の全額会社負担
・35歳未満女性社員の婦人科健診費用の全額会社負担
・受診推奨年齢社員の専門検診費用の全部または一部会社負担
・保健師による健診結果に基づいた保健指導、有所見者への受診勧奨
・産業医、保健師への健康相談窓口の設置 ・外部サービスを利用した健康相談窓口の設置
・社員とその家族を対象とした健康に関するeラーニングの実施
・長期障害所得補償制度
・ウォーキングイベントの実施および参加社員へのインセンティブ付与
・運動器具の設置
メンタルヘルス対策
年1回、全社員を対象としたストレスチェックを実施するとともに、その結果に基づいた指導、研修等も充実させ、メンタルヘルス対策の強化を進めています。
施策例)
・管理職向け集団分析結果の報告会実施
・管理職向け個別相談会の実施
・メンタルヘルスのセルフケア研修及びラインケア研修の実施
・産業医、保健師への相談窓口の設置
・外部サービスを利用したメンタルヘルス相談窓口の設置
女性の健康課題対策
<ヘルスリテラシー>
全従業員を対象としたヘルスリテラシー向上セミナーを年1回eラーニングにて実施。2024年は女性社員のキャリア形成やプレゼンティーズム向上を目的とし、女性特有の健康課題をテーマとしたヘルスリテラシーを高める教育施策として、あすか製薬監修のオンデマンド研修サービス「フェムナレッジ」を導入しました。2024年は、全従業員の30%かつ女性従業員92%にあたる140名が受講しました。
<各種制度>
女性特有の健康課題や症状、妊娠・出産・妊活等におけるサポートとして、2023年4月に当社独自の休暇、支援制度を新設しました。
有給生理休暇 | 月に1回取得可能 |
妊娠休暇 | 妊娠判明時から、10日間の有給の特別休暇を取得可能 |
有給休暇積立制度 | 更年期・不妊治療支援を目的に、利用目的に該当すれば直近二年間に失効した年次有給休暇を最大30日/年まで取得可能 |
一時保育サービス費用補助 | 未就学児世帯に月15,000円上限支給 |
2. 働き方改革
当社は社員の約75%が開発業務に従事しており、品質の高いシステムやサービスを顧客に提供するためには、社員の労働時間のきめ細やかな管理や、働きやすい環境や施策を整備することが重要です。働き方改革の取組みを通して、社員の総労働時間を削減し、ワークライフバランスを改善することを目指しています。また、多様な働き方を後押しするため、全社員がテレワークできる環境を整備しています。
ワーケーション(Stayworkプログラム)
社員の多様性を活かした自律的な働き方の提案として、開発拠点がある函館と沖縄の2拠点でワーケーションを推進しています。普段とは異なる環境での業務を通じて、新たな発見や気づきを促し、社員の個人的な成長を支援します。さらに、函館事業所や沖縄の関係会社との人的交流を通じて、異なる地域の文化や業務スタイルを体験することで、新しいアイデアや協働の機会を生み出すことを目指しています。
労働時間のきめ細やかな設定
2017年から、働き方改革の取組みを開始しています。現在は、経営幹部が集まる会議体で、社員の労働時間の状況を確認するほか、当社における労働時間の上限を超過した社員がいる場合、必要に応じて対象本部に指導を行い、社員のワークライフバランスの改善に努めています。2023年度は2017年比で月平均の所定外労働時間を約29%削減することができ、この削減した実績に対し「時間創出手当」として金銭で社員に還元しています。また、深夜時間帯に一定時間の労働を行った場合、その勤務時間に応じた時間単位の特別休暇を付与し、社員の健康のため、その取得を推進しています。
休暇取得の促進
2018年に時間単位の年次有給休暇の取得制度を新設するとともに、2019年4月から有給休暇の計画的な取得を推進しています。働き方改革関連法が定める年5日の取得に、当社独自の制度として3日を追加し、全社員が年8日の有給休暇を最低限取得するよう、全社の取得状況を管理し、不足している場合は取得促進のための周知を行っています。2019年以来、全社員が年5日の有給休暇を取得することができており、全体の有給休暇の取得率についても2023年度は66.4%を達成しています。
また、2023年には福利厚生および働きやすさの向上を目的として勤続5年未満社員への年次有給休暇付与日数を2日間増やすとともに、法定外の有給特別休暇の新設、改定を行っており、これにより平均有給特別休暇取得日数は7.6日となりました。
社員の「働きやすさ」と「自律的なキャリア形成」を支援する休暇制度を拡充
朝型勤務推奨の朝食無料サービスと常設の健康総菜サービス
当社の社員および当社内に常駐で勤務しているビジネスパートナーを対象に、平日8時から9時半の間に朝食を無償提供しています。長時間労働かつ夜型勤務からの脱却と健康増進による生産性の向上を目的に2019年6月から提供を開始しており、この1年では常設の健康総菜サービスと併せて社員の約6割が利用しています。直近1年の施策投資額は朝食サービスが約705万円/年、常設総菜サービスが約282万円/年です。利用した社員の約8割が満足し、約6割が食後の業務パフォーマンスに良い効果があったと感じており、食習慣の改善を促す施策によって、生産性の向上につながっています。
主な成果
1.当社の健康管理に関する状況
健康づくりのための施策や働き方改革の効果をはかるため、定量的な指標をモニタリングしています。今後もこれらの指標を継続的に測定することで、より効果を見える化していきます。
項目 | 単位 | 2022年6月期 | 2023年6月期 | 2024年6月期 |
健康診断受診率 * | % | 100.0 | 99.3 | 100.0 |
精密検査受診率 * | % | 75.0 | 50.0 | 57.6 |
ハイリスク者への施策の参加状況(特定保健指導実施率等) * | % | 44.2 | 41.8 | 39.1 |
ハイリスク者への管理(治療継続)率 * | % | ー | 88.6 | 94.3 |
肥満率(BMI 25以上) * | % | 25.0 | 26.0 | 28.0 |
喫煙率 * | % | 20.5 | 19.1 | 18.9 |
ストレスチェック受験率 | % | 100.0 | 100.0 | 100.0 |
高ストレス者率 | % | 19.0 | 15.9 | 14.2 |
平均勤続年数 | 年 | 11.1 | 11.1 | 10.8 |
a.プレゼンティーイズム ※1 | % | 84.8 | 87.0 | 87.1 |
b.アプセンティーイズム ※2 | 時間 | 9:48 | 10:42 | 8:12 |
c.ワークエンゲージメント ※3 | 点 | 2.7 | 2.6 | 2.6 |
上記a.b.c算出時の測定人数 | 人 | ー | ー | 451 |
上記a.b.c算出時の回答率 | % | ー | ー | 90.0 |
労働災害、死亡災害発生件数 | 件 | 0 | 0 | 0 |
* 集計期間:04/01~03/31
※1 健康な状態で発揮できるパフォーマンスを100%としたときに、過去1ヶ月で発揮できたと感じるパフォーマンスの割合の全社平均
※2 過去3ヶ月において健康上の問題により休暇等で勤務を欠いた時間の全社平均
※3 新職業性ストレス簡易調査票(短縮80項目)のワークエンゲージメントに関する2つの設問の平均得点
(最低「1」~最高「4」で得点が低いほど良好な状態を表す)
2.社員満足度の向上
2017年から年1回、社員向けに満足度調査を実施しており、この調査をきっかけに有給休暇の取得促進や、管理職向けの研修制度の強化が行われました。また、社員の「働きやすさ」と「働きがい」を高めるための様々な取組みを続けてきた結果、社員のエンゲージメントも改善してきています。今後も、社員一人ひとりの声に耳を傾けながら、さらなる改善を進めます。
3.その他の成果(経営への影響)
2017年度比で、1人当たりの年間労働時間を4.3%減少させており、睡眠時間や休養の確保によって健康維持、増進を実現することができています。この間の業績も、増収増益の基調を維持しており、従業員の生産性が高いことを示しています。今後、アブセンティーイズム、プレゼンティーイズムを継続的に測定することで、さらなる改善を進めていきます。
労働安全衛生
当社はその事業活動において、当社の役職員と事業に関わる方々の安全を常に最優先します。
当社は、代表取締役の指揮のもと、衛生管理者、産業医、安全衛生関連部署、社員代表などからなる安全衛生委員会を月に1度開催し、産業医等の助言を得ながら、社員の健康を支える仕組みや職場の環境改善等について協議しています。協議の結果、労働災害の無い安全な職場の実現、および事故防止のための諸施策を社員と協働で実施しています。
労働安全衛生への取組み
安全衛生委員会の設置や職場巡視などの活動に加え、AED(自動体外式除細動器)の設置や防災訓練の実施など、緊急時対応の整備を行っています。
安全衛生委員会 | 従業員の「安全と衛生」に関する取組みとして、労働安全衛生法に基づき安全衛生委員会を設置し、労働災害の防止に努めています。 |
職場巡視 | 職場の「快適な作業環境」や「衛生状態」、「安全」を適切に整えるために職場巡視を行い、状況把握および改善に取り組んでいます。 |
労働衛生管理 | 労働衛生管理の基本的な対策として作業環境管理、作業管理、健康管理を総合的に実施し、快適な職場づくりを推進しています。 |