導入事例 株券レンディング業務を支えるシステムを構築
複雑化したシステムを刷新し、業務スピードと収益性のさらなる向上へ
松井証券は、「お客様の豊かな人生をサポートする」ことを企業理念に、価値の高いサービスを提供し続けています。
20年以上にわたり展開する株券レンディング業務(自社で保有する株券を貸し出して利益を得る取引)は、市場環境の変動に左右されず一定のニーズが見込まれる領域であり、近年その重要性が一段と高まっています。
その一方で、株券レンディングを支えてきた社内の独自システムは長年の増強によって構造が複雑化。業務が属人化し、処理スピードやメンテナンス性にも改善が急務となっていました。
そこで松井証券は、IWIとともに既存システムの全体像の可視化から着手し、不要機能の洗い出し・操作画面の刷新・バックエンドのパッケージ活用など、段階的なシステム刷新を実施しました。これにより、業務スピードは大幅に向上し、収益機会の拡大やメンテナンス負荷軽減といった成果が生まれています。
今回は、株券レンディングのシステム刷新プロジェクトを推進している財務部の藤本様、吉田様、和泉様に、課題と解決への道のり、そして今後の展望についてお話を伺いました。
松井証券株式会社
インタビューご参加者
財務部 副部長
藤本 佳祐様
財務部 推進役
吉田 薫様
財務部 推進役
和泉 幸貴様
背景:松井証券独自の既存システムが抱えていた課題
――まず、財務部の業務や体制について教えていただけますでしょうか。
藤本様:財務部は、経理担当と、株式の決済や貸借を担う証券決済担当の2つのチームで構成されています。中でも、証券決済担当はレンディングによる収益拡大を目指し、チームを組んで日々取引業務や管理業務を行っています。
――今回システム刷新を検討されるに至った背景を教えてください。
藤本様:株券レンディングのビジネス自体は、約20年以上前から行っています。当初は規模も小さく、業務に合わせて当社独自のシステムを担当者が構築し、運用していました。
その後、ビジネスの拡大に伴い、制度対応や新たな業務が追加され、その都度機能を付け足してきた結果、非常に複雑なシステムになっていました。 例えるなら、増築を繰り返した家のような状態です。全体の構造が分かりづらく、残されたドキュメントも難解で、どこをどう直せばよいのか把握するのが難しい状況でした。
――業務自体は問題なく回っていたのでしょうか。
藤本様:現場の工夫と経験で何とか回してはいましたが、かなり属人的な状態でしたし、システムのメンテナンスにも相当な時間を取られていました。財務部内で対応していましたが、特定社員の業務の多くをシステム対応に費やすこともあり、正直なところ限界が近いと感じていました。
レンディングはスピードが非常に重要な業務です。市場が活性化する中で、取引スピードがビジネス拡大の足かせになりかねないという課題感もありました。
こうした課題を解決するため、システムを刷新するプロジェクトを開始しました。この計画は数段階に分けて着実に進められており、現在はフェーズ3の工程に取り組んでいます。IWIには、プロジェクトの本格的なスタート(フェーズ1)に先立つ事前検討・分析の時点から現在に至るまで、支援をいただいています。
課題に向き合いシステム刷新プロジェクトを実施、まずは「全体像の可視化」から
――プロジェクト開始前、はじめにIWIへご相談いただいた内容の目的を教えてください。
藤本様:「このシステムが何をしているのか、まず全体像を把握したい」というのが一番の目的でした。いきなり作り替えるのではなく、現状を正しく理解しなければ次の一手が打てないと考えたからです。
――今回IWI側でプロジェクトマネージャーを担当した泉田に伺います。IWIでは、どのような解析・可視化の取り組みを行ったのでしょうか。
泉田(IWI):既存システムの機能とそれを支えるデータベースの関係性を一つひとつ整理し、「この操作をすると何が起きるのか」を可視化することから着手しました。想像していた以上に規模が大きく、正直驚きましたね。
藤本様:機能として存在はしているものの、実際には使われていないものが多くあることも分かりました。業務を見直すうえで、非常に重要な材料になったと思います。そこからは、IWI協力のもと、既存の当社独自システムの機能に関して、廃止する機能、統合する機能、維持する機能、といったように分類しつつ、理想のゴールイメージを固めていきました。
フロントインターフェース刷新
――解析した結果、はじめにフロント画面を中心とした刷新を優先された理由は何だったのでしょうか。
藤本様:日々の業務の中で「使いづらい」という課題が明確だったからです。業務の取捨選択を行い、本当に必要な操作や情報だけに絞り込むところから始めました。
――刷新後、業務はどのように変わりましたか。
吉田様:一番大きい変化は、画面が一つに集約されたことです。以前は複数の画面を行き来する必要がありましたが、今は一つの画面で業務が完結します。
操作するステップが減り、業務スピードは大きく向上しましたので、とても楽になったと感じますね。
拡充された機能
――その他に、これまでのプロジェクトで拡充された機能の効果について教えてください。
吉田様:以前は、株券の貸出は手入力による部分も大きくありました。 現在は、取引先にスピード感を持って対応するのみならず、細かな要求にも柔軟に対応できるようになりました。 体感では、業務時間は以前の3分の1程度になっていますね。
バックエンドに関するパッケージ活用と、フロントを含めた全体刷新
――フロント画面を中心とした刷新後、次フェーズとなるプロジェクトでは、バックエンド部分についてパッケージ製品の活用を選択されましたね。
藤本様:担保金計算などの領域は専門性が高く、継続的なメンテナンスも必要です。 将来を見据えると、自社だけで抱え込むよりも、実績のあるパッケージを活用した方が安心だと判断しました。
IWIには、開発としての対応だけでなく、支援チームとして、要件整理から製品選定、ベンダーとの調整まで間に入ってもらえたので、非常に助かりました。
――最初のフェーズでは手を加えていなかったその他のフロント部分も含めた大幅な刷新となりましたが、事前の検討フェーズから最終的なリリースに至るまで、IWIの支援チームに対する印象はいかがでしたか。
和泉様:証券ビジネスに知見のあるメンバーの方が、証券会社の立場も踏まえながら、システム的な観点も加えたうえで意見してくれるので、「かゆいところまで手が届いて支援してくれる」という印象ですね。
成果:業務効率化と収益拡大
――業務効率や収益面での変化はいかがでしょうか。
吉田様:処理スピードが上がったことで、以前は対応できなかった取引を処理できるようになりました。依頼量も増加している状況ですが、迅速な対応が可能となり、取引先の満足度も向上していると感じています。
藤本様:対応が早いと取引先内での優先順位も上がります。 レンディングは安定的な収益源ですが、今回のシステム刷新によって、より確実に収益を積み上げられるようになったと感じています。
――システムのメンテナンス負荷についてはいかがですか。
藤本様:大きく軽減されたと感じますね。 以前は「どう直すか」を考えるだけで時間がかかっていましたが、今は目的を伝えれば具体的な提案をもらえます。 検討にかかる時間が減り、本来の業務に集中できるようになりました。
今後の展望
――最後に、今後レンディング業務やシステムをどのように発展させていきたいとお考えですか。
藤本様:現在進めている次フェーズのプロジェクトで大きな部分としてはある程度完成に近いシステムが出来上がる予定ですが、今回の取り組みを一過性で終わらせるのではなく、改善をサイクルとして回していきたいと考えています。年に1~2回でも継続的に手を入れながら、社員の負担を抑えつつ、レンディングビジネスをさらに拡大していきたいですね。
IWIには、引き続き「こういうやり方もあるのでは」といった視点での助言を期待しています。 業務とシステムの橋渡し役として、今後も伴走してもらえると心強いです。
公開日:2026年3月31日
※記載された情報は公開日現在のものです。