事業・技術・人財の変革を通じて未来の成長基盤を築き、持続的成長の実現を目指します

当社は2025年6月期を初年度とする3カ年中期経営計画を策定しています。この中期経営計画では、「Transformation for the Future」を掲げ、2030年代を見据えた事業の多角化と持続的な成長の基盤づくりに取組んでいます。事業領域を「決済」「セキュリティ」「データ通信・分析基盤」の3つに再編し、「事業」「技術」「人財」の3つの観点からの変革に注力しています。

主力の決済領域では、キャッシュレス決済の拡大に伴い、主要取引先である決済事業者において、基幹システムのモダナイズやオープン化が進展しています。当社は強みである決済ソリューションの価値を高め、FEP*・不正検知分野に加え、アクワイアリング分野を中心に領域拡大を進めています。また、カード不正利用が多様化する中、業界横断型の新たな不正対策ソリューションの立ち上げなどを通じて、業界における提供価値の向上にも取り組んでいます。

セキュリティ領域では、収益性の高い自社プロダクトの価値向上と販売強化を進めるとともに、東南アジアを中心とした海外市場への展開にも注力しています。さらに、DNPグループが提供するオールインワンのセキュリティサービスに参画し、顧客基盤およびビジネス領域の拡大に取り組んでいます。

データ通信・分析基盤領域では、コア技術である高速・大量のデータ通信および分析・処理技術の他業界における活用の検討を進め、新たな市場の獲得にチャレンジしています。

2025年6月期業績について

売上高は、主力の決済領域においてカード会社を中心とした堅調な投資需要を取り込み、155億9,600万円(前期比7.4%増)となりました。カード不正利用検知に対する需要も引き続き高水準で推移しています。一方で、一部案件の品質強化対応や、自社製品の一括償却などの影響により、営業利益は18億4,800万円(同9.0%減)となりました。ただし、これらは一時的な影響であり、次年度以降に向けては、中期経営計画の施策を着実に推進し、中期経営計画最終年度の目標達成を目指してまいります。

2026年6月期業績予想と株主還元について

  
2026年6月期の業績予想については、売上高174億円(前期比11.6%増)、営業利益24億円(同29.8%増)とし、中期経営計画の当初計画から上積みしました。売上については、大手カード会社のシステム更改需要への対応を進めるほか、中期経営計画に基づく施策の推進により事業拡大を図ってまいります。利益面では、システム開発・保守やインフラ・運用における標準化・品質強化を通じて、生産性向上と利益率改善に取り組みます。

株主還元については、2025年6月期の期末配当を期初予想通り1株当たり20円とし、年間配当は35円となりました。2026年6月期は37円への増配を予定しています。

今後も、株主の皆様のご期待に応えるべく、さらなる成長と企業価値の向上を目指してまいります。引き続き、ご支援とご協力をお願い申し上げます。

※FEP(Front-End Processor)システム:クレジットカード決済処理に必要なネットワーク接続やカードの使用認証等の機能をもつハードウェアおよびソフトウェア

代表取締役社長
川上 晃司