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【IWI×マグノリア・スポーツマネジメント】
共に価値を最大化する時代へ、スポーツチームと企業の新しい関係

スポーツをビジネスとして捉え、その課題解決に必要なサービスを提供する株式会社マグノリア・スポーツマネジメント。同社代表取締役 森貴信氏は、V・ファーレン長崎の立ち上げに参画した後、埼玉西武ライオンズやラグビーワールドカップの経営改革、戦略策定に携わるなど、長年にわたってスポーツビジネスの第一線で活躍されています。

株式会社インテリジェント ウェイブ(以下、IWI)は、人財育成や地域貢献活動の一環として、2023年よりFC東京のクラブスポンサーとなりました。そこで今回の対談では、当社の代表取締役社長 佐藤邦光と森氏が、企業がスポーツチームのスポンサーとなる目的や意義、スポーツが社会や企業に与える影響について語り合いました。

佐藤 邦光(さとう くにみつ)


株式会社インテリジェント ウェイブ 代表取締役社長
佐藤 邦光(さとう くにみつ)

2020年9月にインテリジェント ウェイブ社長に就任。次世代の情報化社会に向けて、「決済、金融、セキュリティ分野を含む様々な企業のビジネスリライアビリティ(※)を支えるITサービス会社」になることをミッションとする変革をスタートさせる。社員と、会社の将来はどうあるべきかを議論しながら、従来の延長線にはない変革を常に求めている。また「働きやすさ」と「働きがい」を追求する多様な働き方と多様な人財の活躍の推進を通じて、新たな挑戦や創造を生み出す組織づくりを進めている。“世の中を変える”、“未来を創り出す”という実感を挑戦の醍醐味としており、新たな挑戦を通して、持続可能な社会に貢献し、社員と会社の成長の実現を目指している。

(※)ビジネスリライアビリティ:顧客事業の信頼性および自社事業の信頼性を高め続けること。(当社の造語)

森 貴信(もり たかのぶ)


株式会社マグノリア・スポーツマネジメント 代表取締役
森 貴信(もり たかのぶ)

大学卒業後、総合商社在職中の2003年に慶応ビジネススクールにてMBA取得。自動車メーカーを経て、2005年にV・ファーレン長崎の立ち上げに参画。その後、サガン鳥栖、埼玉西武ライオンズ、ちふれASエルフェン埼玉、T.T彩たまにて経営改革、戦略策定などに従事。ラグビーワールドカップ2019組織委員会チケッティング・マーケティング局局長(チケッティング担当)。Sonoligo関東エリア・スポーツ分野事業責任者(現)。日本陸連マーケティングアドバイザー(現)。早稲田大学招聘研究員。著書『スポーツビジネス15兆円時代の到来』(平凡社新書)

マグノリア・スポーツマネジメントの事業内容について、改めてご説明ください。

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森:私たちは主に4つのサービスを展開しています。1つ目は、スポーツ特化型のクラウドファンディング「FARM Sports Funding(ファームスポーツファンディング)」です。特にマイナースポーツの世界では、活動資金集めに苦労して、アスリートが競技に集中できないケースが少なくありません。そのような問題を解決するために、アスリートと支援者を直接つなげて資金調達をサポートするサイトを運営しています。

2つ目は、スポーツチームなどに経営者やスタッフとして参画し、組織の一員として内部から経営改革に取り組むハンズオンです。そもそも私がスポーツビジネスに携わったのは、2005年にV・ファーレン長崎の立ち上げに参画したのが始まりでした。それ以降、埼玉西武ライオンズ、ラグビーワールドカップ2019組織委員会などでも、経営改革や戦略策定に従事した経験があります。

3つ目は、外部スタッフとしてアドバイスを行うコンサルティング。現在は、日本陸上競技連盟のマーケティングアドバイザーを務めています。4つ目は、スポーツビジネスの動向やマネジメント手法などについて、私が講師としてお伝えする講演・セミナーです。

これ以外にも、スポーツや音楽、美術など多岐にわたる文化イベントを月額制で楽しめる、サブスクリプションサービス「Sonoligo(ソノリゴ)」にも参画しています。当初はスポーツ分野の事業責任者として関わっていたのですが、サービス運営会社の本社が名古屋にあるため、現在はスポーツの枠を飛び越えて関東エリアの責任者として活動しています。

佐藤:V・ファーレン長崎の話もありましたが、森さんがスポーツビジネスに関わるようになったのは、どのような経緯だったのでしょうか。 

森:私は大学卒業後に商社に入り、30歳を過ぎてから慶応ビジネススクールに通っていました。そのとき、Jリーグの経営について修士論文を書いたことが、スポーツビジネスに関わるようになったきっかけの1つです。修士論文のテーマが特に制限などされることはなく自由だったため、頭に浮かんだのがスポーツでした。子供のころからサッカーや野球をやっていたり、大人になってからはテニスもやるようになったり、やるのも見るのもスポーツはずっと私の身近な存在でした。ニュースや新聞でもどちらかというとスポーツ欄をいつも楽しみにしている方です(笑)。

ただ、20022003年当時、先行研究を調べたところ、「スポーツ×経営学」に関する論文が日本にありませんでした。これには頭を抱えましたが、「書き上げたらこの分野のパイオニアになれるのでは」と考えるに至りました。執筆にあたり、FC東京や川崎フロンターレに伺い経営についてインタビューし、そこでスポーツチーム経営の内情を知ったのです。そうした中で修士論文を書き上げMBA(経営学修士)を取得した後に、(数年経ったのち)「自分の好きな仕事をしたい」という思いが強くなっていきました。そんなとき目にしたのが、地元の長崎でJリーグ参入を目指すクラブチームが発足するというニュースです。すぐにチームの事務局に「経営に携わらせてください」とメールをしました。実は一度断られたのですが、諦めきれずに再びメールを送って直接会う時間を作ってもらい、プレゼンをした結果、V・ファーレン長崎の立ち上げに参画することになったのです。

お二人はいつからお知り合いなのでしょうか。

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佐藤:森さんとは、私が大日本印刷(以下、DNP)に在籍していたころからのお付き合いです。初めて出会ったのは、サッカーJリーグの試合会場でしたね。ICチップ搭載のリストバンドを使ったスタジアムソリューションの実証実験を行い、当時ラグビーワールドカップに携わっていた森さんにもお越しいただきました。

ご招待した皆さんに実証実験を体験して頂いた後に、同じブースで試合を観戦しましたが、ふと気付くと私の隣にいた方がV・ファーレン長崎のユニフォームに着替えていたのです。それが森さんでした(笑)。気になって理由を尋ねてみたところ、森さんがチームの立ち上げから参画されている方なのだと知りました。V・ファーレン長崎を一緒に応援しましたよね。

森:そうでしたね。そのおかげか、後半に1点取ることができました(笑)。

佐藤:その出会いがきっかけで、森さんとはスポーツ関連の新規事業を立ち上げようとしたこともありましたね。残念ながら実現には至らなかったのですが、チーム内の議論は非常に活発でしたし、若手社員が意欲的に仕事に取り組んでいた姿が印象的でした。スポーツに関わる事業には、人を伸ばす力があるのではと感じましたね。その気づきは、IWIFC東京のクラブスポンサーになったことにもつながっています。

森:確かに人財育成には向いている事業と言えるでしょう。スポーツビジネスの特長は、ステークホルダーが多いことです。一般的なビジネスであれば、売り手と買い手がいれば成り立ちますよね。しかし、スポーツビジネスの場合、選手やファンをはじめ、マスコミ、行政など多方面と向き合い、バランスを取りながら事業を進める必要があります。高いマネジメント能力が求められるため、スポーツビジネスに携わった方が、他の業界においても成功を収める事例も増えています。

先ほど話にも出ましたが、2023年よりIWIFC東京のクラブスポンサーになっています。その背景についてお聞かせください。

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佐藤:FC東京のスポンサーの話を頂いたのは、人財育成のために何かできることはないかと思っていた時でした。

森さんには及びませんが、私も昔からスポーツが大好きです。サッカーや野球、ラクビー、アメリカンフットボール、F1と、いずれも応援するチームを決めてスポーツ観戦を楽しんできました。

スポーツを楽しむ中で長年感じていたのは、私たちが人生を歩んでいく上で、スポーツから学べることは非常に多いということ。自己実現のために、どんなモチベーションでトレーニングをするのか、苦しいときをどう乗り越えるか、メンタルを安定させる方法、メンバーの個性を活かすチーム作りに必要なものは何か、多様性を受け入れるための考え方など、スポーツを通じて、社会に役立つ総合的な力である人間力を養えると考えています。そして、スポーツには勇気と感動をもたらす力があります。筋書きのないドラマを体感することで自己変革に繋がっていくと考えています。

社員のクリエイティビティや好奇心を刺激したい、そんな思いもありました。特に技術者は、自分が興味を持った分野を追究する傾向が強いです。それはすばらしいことですが、視野が狭くなる恐れもあります。新しい価値の創造なくして、企業の成長はありえません。

森:
非常に良いことだと思います。IWIさんのような企業がもっと増えてほしいくらいです。一昔前はスポンサー契約と言えば、社名の露出が主な目的でした。しかし、現在は多様化しています。例えば、昭和の時代は、福利厚生の一環としてバレーボール部など、部活動を行う企業が多かったですよね。それが今では、スポーツチームのスポンサーとなって、試合観戦や選手との交流会を福利厚生としている企業もあります。それ以外にも採用強化など、企業がスポンサー契約を結ぶ目的は様々です。

佐藤:スポーツを通じた地域貢献も、FC東京のスポンサーとなった目的の1つです。IWIは函館に事業所、沖縄に関連会社があり、どちらの拠点も大切にしています。とはいえ、本社を東京に置く企業ですから、東京を代表するスポーツチームをやはり応援したいと思いました。

IWIの社員に、自社に対する誇りをさらに持ってもらう狙いもあります。より正確に言うなら、社員をもっと褒めてあげたい。IWIの仕事は、24時間365日止まらないシステムで、金融や決済に関わる社会インフラを支えることです。いわば縁の下の力持ちであるため、私たちの取組みが広く世に知られるのはなかなか難しい。ですから、スポンサーになって認知度が少しでも上がり、社員が「Jリーグのクラブのスポンサーになるような会社なんだ」と自社に誇りを持ったり、社員の家族や友達がIWIに興味を持つきっかけになったりすれば嬉しいですね。

森:まさに今おっしゃったように、BtoB企業であっても、社員のためにスポンサーになる企業が増えています。家族や友達と試合観戦しているときに、スタジアムのパネルを指して「あれはうちの会社だよ」なんて話をしたら、良いリアクションが返ってくるはずですし、そうした会社の取組みを誇りに思う社員の方も多いのではないでしょうか。

佐藤:そう思ってもらえれば嬉しいですね。2023年のシーズン開幕戦には、社員の家族を含む70名で試合を観戦しました。ささやかではありますが、会社からFC東京のマスコットのグッズをプレゼントしたところ、社員のお子さんに喜んでもらえてとても良かったです。新入社員も試合を観戦しましたが、ほとんどが初めての観戦で楽しかったようです。今後は、ビジネスパートナーの方も試合にご招待したいですね。社員の家族やステークホルダーの方々とも、試合観戦を一緒に楽しみたいと思います。

森さんは、2019年に出版された著書『スポーツビジネス15兆円時代の到来』(平凡社)の中で、スポーツ業界は有望な事業環境にあり、今後市場はほぼ確実に発展すると書かれています。コロナ禍を経た現在、出版当時からその状況に変化はありますか

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森:新型コロナウイルスの流行や、東京オリンピック・パラリンピックの延期などは全く予想外の出来事でしたが、それでもスポーツは今も成長が見込めるビジネスであることに変わりありません。例えば、今年開業して話題を集めた「北海道ボールパークFビレッジ」は総工費約600億円です。2024年開業予定の「長崎スタジアムシティプロジェクト」は、サッカースタジアムを中心にアリーナやオフィス、商業施設の開発が一体化した計画で、総工費約800900億円にも及びます。街づくりにも関わり、数百億円規模の金額を動かせるのは、スポーツだからこそできることです。

佐藤:森さんの著書には、政府が2016年にまとめた成長戦略の中で、国が力を入れて取り組む事業としてスポーツが明記されたというお話もありましたよね。政府がスポーツを有望成長産業であると位置付けて成長を後押ししているから、スポーツビジネスの未来も明るいのでしょう。だからこそ「スポーツビジネス15兆円時代」が到来すると。

森:国の成長産業にスポーツが組み込まれたのは、それが初めてのことでした。欧米と日本のスポーツビジネスを比較すると、市場規模は25年ほど前までは同程度でしたが、その差は一気に開いてしまった。これには様々な事情が絡んでいますが、裏を返せば、日本おけるスポーツビジネスはそれだけ伸び代があるとも言えます。

佐藤:
サッカーはグローバルなスポーツですから、そういった点にも可能性を感じます。


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東京はクラブビジョンに「世界のTOKYOに相応しいクラブへとチャレンジする」ことを掲げ、アジアにおける海外ファンの獲得、そして将来的には世界への進出を目指しています。私たちIWIも、アジアへの展開を見据えていますから、そうしたビジョンには非常に共感できるところがありました。

森:なるほど。グローバルという点で言うと、IWIさんは海外企業とのやりとりも多いですよね。特にヨーロッパや東南アジアの方が、IWIさんがJリーグ所属クラブのスポンサーであることを知れば、間違いなくリスペクトされると思いますよ。

佐藤:それはとても嬉しいです。社内に展示してあるユニフォームや選手のサイン色紙、ポスターを眺めながら、来社された方とサッカーの話題で盛り上がることもしばしば。FC東京やサッカーという共通の話題があることで、社員同士のコミュニケーションも活発になれば嬉しいですね。

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また、森さんは著書の中で、「スポーツで地域を元気にする」から「地域の課題や自社の課題解決のためにスポーツを使う」へと、視点の転換を提唱されています。後者の意識を持ってスポーツを「使う」地域や企業は増えているのでしょうか。

森:はい、増えています。最近は、チーム側も「課題解決にぜひ使ってください」というアプローチでスポンサー営業をすることが増えているようです。

例えば、株式会社マネーフォワードと横浜F・マリノスの取組みが良い事例でしょう。「お金を前へ。人生をもっと前へ。」というミッションを掲げるマネーフォワードは、前へ前へと攻撃的なサッカーを展開する横浜F・マリノスのスタイルに親和性を感じてスポンサー契約を締結されています。ユニークな施策を通じてサービスの認知度向上に努めるだけでなく、チーム応援用のTwitterアカウントを作ってサポーターと交流を深めたり、試合観戦を通じて社員同士のコミュニケーション活性化を図ったりと、スポンサーであることを上手く活用されています。

佐藤:とても参考になる事例です。私たちも、もっと多くの社員を巻き込んでFC東京を応援しようと、社内プロジェクトのような形で活動するメンバーを公募しているところです。森さんのお話にあったようにスポンサーであることを活かして、FC東京や地域社会に、そして私たち自身にとっても意義のある、様々な施策を行なっていきたいです。

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