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【IWI×CEKAI対談】
個の力を最大限に発揮できる、クリエイティブな組織のあり方とは

錚々たる国内外の企業やブランドから支持を受ける気鋭のクリエイティブチーム、世界株式会社(以下、CEKAI)。クリエイターのためのクレジットデータベース「BAUS」を手がけるなど、クリエイターの活動を支える事業に長年取り組まれています。今回の対談では、CEKAI 共同代表の加藤晃央氏(以下、敬称略)と当社の代表取締役社長 佐藤邦光が、個の強みを活かした組織づくりや海外展開への想いなど、多様なテーマについて語り合いました。

佐藤 邦光(さとう くにみつ)


株式会社インテリジェント ウェイブ 代表取締役社長
佐藤 邦光(さとう くにみつ)

2020年9月にインテリジェント ウェイブ社長に就任。次世代の情報化社会に向けて、「決済、金融、セキュリティ分野を含む様々な企業のビジネスリライアビリティ(※)を支えるITサービス会社」になることをミッションとする変革をスタートさせる。社員と、会社の将来はどうあるべきかを議論しながら、従来の延長線にはない変革を常に求めている。また「働きやすさ」と「働きがい」を追求する多様な働き方と多様な人財の活躍の推進を通じて、新たな挑戦や創造を生み出す組織づくりを進めている。“世の中を変える”、“未来を創り出す”という実感を挑戦の醍醐味としており、新たな挑戦を通して、持続可能な社会に貢献し、社員と会社の成長の実現を目指している。

(※)ビジネスリライアビリティ:顧客事業の信頼性および自社事業の信頼性を高め続けること。(当社の造語)

加藤 晃央(かとう あきおう)


世界株式会社 共同代表
加藤 晃央(かとう あきおう)

1983年、長野県生まれ。2006年、武蔵野美術大学4年在学時に起業し株式会社モーフィングを設立。2012年、クリエイティブアソシエーションCEKAI / 世界株式会社を設立。2018年、クリエイターのためのコレクティブスタジオ「村世界」を開村。クリエイターの可能性を高め、繋げ、拡張させることをミッションとし究極の裏方を目指す。

CEKAIの事業について、改めてご説明ください。

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加藤:私たちは、独立して活動するクリエイターたちが集う組織、クリエイティブアソシエーション「CEKAI(セカイ)」を運営しています。CEKAIを簡単に説明するなら、クリエイター個人の活動を手助けするための組合やギルド、寄合いのような組織です。主な事業は、企業から「ものづくり」を請負う事業とクリエイターのマネジメント、それにコワーキングスペースのような環境づくりを加えた3つ。現在は100名ほどのメンバーがCEKAIに在籍しています。

CEKAIの創業は2012年。ちょうど私と同世代のクリエイターたちが、社会で56年ほど経験を積んで実績を作り、独立したり仕事のオファーが増えていく時期でした。ただ、彼らが仕事を進めるうえで、日本の古い商習慣がネックにもなっていた。日本では、個人が大手企業と直接契約するのはかなり難しいことです。そのような背景の中で、個人で活動するクリエイターが制作に集中できる環境、彼らが集まれる場所を作りたい、そう思い立ったことが、設立のきっかけになり、クリエイターである共同創業者の井口(CEKAI共同代表 井口 皓太氏)と、CEKAIを立ち上げました。

佐藤:加藤さんがCEKAIを設立された当時から、クリエイターのマネジメントという仕事は一般的だったのですか?

加藤:芸能やスポーツのような、個人で仕事をする業界では、マネジメント組織が昔から存在していました。ただ、クリエイティブという領域でのギルド的組織は、日本国内において私たちCEKAIが先駆けだったと認識しています。とはいえ、すでに創業から約10年が経ち、世の中も大きく変わりました。フリーランスという働き方が普及したことや、企業における副業解禁の流れを受けて、近しい会社が増えています。

キャリアの歩みは異なる佐藤さんと加藤さんですが、お2人はいつからお知り合いなのでしょうか。

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佐藤:初めてお会いしたのは、私が大日本印刷(以下、DNP)に在籍していた2017年ごろ。当時担当していた事業部において、社員にクリエイティブの素養を身につけてもらおうという趣旨で、コンテストを開催したのですが、そこで審査員を務めていただいたのが、加藤さんと井口さんだったのです。当時すでに、DNPCEKAIが出資関係にあったが故のご縁でしたが、私にとっては印象深い出来事でしたね。

無事にコンテストを終えた後、お2人を交えて会食をする機会をいただいて、加藤さんや井口さんの考え方に深い感銘を受けたことを覚えています。

加藤さんは、クリエイティブやクレジット情報のオープンデータベース「BAUS」を手がけています。BAUSのコンセプトや、リリース背景についてお聞かせください。

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加藤:これまで、クリエイターは既存の商流やプラットフォームに依存しながら活動するのが一般的でした。しかし近年は、クリエイターが個として複数の組織に接続したり、自らの権利を持ちながら活動する、脱プラットフォームの考え方が広がりを見せています。自己主権型アイデンティティや自律分散型組織(DAO)といったWeb3の概念が登場するなど、まさに個の時代が到来しつつある。

そのような時代には、確かな実績やそれを証明するポートフォリオが、クリエイターの大きな資産になります。さらに加えるならば、作品の制作に「どの役割で関わったか」「どこを担当したか」を証明することが、クリエイターとしての信頼となり、次の仕事を得るうえで最も重要な要素になると考えています。つまりクリエイターにとっての資産です。 

クリエイティブ業界では、多くの場合で1つの作品制作に複数のクリエイターが携わります。その弊害もあって、「あのキャラクターは私が作りました」「あの仕事は俺がやった」などと、他人の担当領域も含めた全てを自分の手柄として語る行為、いわゆるアレ俺詐欺が多発する(苦笑)。制作においてどこを担当したのか、重要な作業を担当したのは誰なのか。いずれもクリエイターにとって大切な情報ですが、アレ俺詐欺が横行することで、情報の信頼性が担保されなくなっているわけです。クリエイティブ業界が抱える大きな課題と言えるでしょう。

BAUSでは、あらゆるクリエイティブに関する制作者情報をオープンにしようという、フルクレジット主義で、一人ひとりのクリエイターがどの工程に携わったかを証明します。それによって、クリエイター同士のオープンなつながりや、次の仕事を創出でき、結果として良いクリエーションを生み出すことにつながると考えているのです。

佐藤:クレジットを公開することが、クリエイターの資産形成につながるのですね。加藤さんは美大在学中に会社を起業され、それ以来クリエイターと社会をつなげる活動に取り組まれています。起業のきっかけは何だったのでしょうか。 

加藤:美大時代に味わった挫折経験が大きかったと思います。私が在籍していた大学には、非常に優秀なクリエイターが全国から集まっていました。彼らを間近で見ているうちに「クリエイターとしてはとても敵わない」と思った。だから、自分自身が直接クリエイターとして仕事をするよりも、一歩引いて彼らの役に立ちたいと思うようになったわけです。

クリエイターの中には、「締切りやお金の管理が苦手」「作品づくりだけに集中したい」といった、クセが強い人も少なくありません。私がサポートに回ることで、彼らにはクリエイターとしての能力を最大限に発揮してもらいたい。裏方として、社会における美大生やクリエイター全体の地位を向上させる役割を果たしたい。当時抱いたこの思いを、今も変わらず持ち続けています。

とはいえ、私一人の力ではできることに限りがありますから、クリエイターを手助けする、この仕組み自体をプラットフォーム化、システム化することで、再現性を持たせることを目標にしています。CEKAIも実はバックオフィスに非常に力を入れていて、人数もかなり割いています。究極的には、私のような役割がいなくても回る仕組みを作れたらいいですね。

佐藤:加藤さんにはプロデューサーとしての視点や、素晴らしい才覚がおありなのだと感じました。BAUSをリリースしてから数年、反響はいかがですか。

加藤:クレジットの登録数は順調に増えています。ニッチ領域で活躍するクリエイターでも、名前がBAUSに登録されることで、ネットの検索結果に表示されるようになる。クリエイター同士のつながりを形成する意味では、大きな後押しができているのではと、自負しています。

当面の課題は、現状のクレジットデータベースとしての役割から、BAUSをどのように発展させていくか、です。発注機能や作品の評価機能などを追加する案も検討していましたが、それをしてしまうと、従来のプラットフォームに近い権力構造が生まれてしまいます。クリエイター同士の民主的な環境を保ちつつ、どのように発展させるべきか。それを考える段階にあると言えます。

IT業界においても、フリーランス人財の活用が進むなど、個の力を活用する流れが強まっています。個人が力を発揮するための取組みやアイデアについて、お2人の考えをお聞かせください。

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佐藤IWIでは、個の力を活かした組織づくりに力を注いでいます。今年の7月には体制変更を行い、組織におけるヒエラルキーのシンプル化や高度専門職制度の見直しを実施。高度専門職制度においては、評価と手当を充足させるだけでなく、各社員の強みをわかりやすく可視化する目的で、社内外に専門性が伝わる、多種の職名に刷新しました。新たに相応しい職名が見つかれば作ることもできます。8月からはタレントマネジメントシステムの導入も行い、個の力を最大限に活かす方針のもと、改革を進めている段階です。

加藤IT業界はグローバルに活躍の場がありますよね。フリーランス人財が活躍する場も広いと感じます。タレントマネジメントの観点では、BAUSのコンセプトであるフルクレジット主義が、IWIさんのようなIT企業でも有効なのではないでしょうか。一つひとつの開発プロジェクトにおいて、誰がどのソースコードを書いたか、プロジェクトの進行管理を担当したのは誰なのか、システム開発において各人が果たした役割や実績を詳細に把握する。それができれば、社内の豊富な人財から、いわゆるジョブ型で各々のプロジェクトに必要な人財を集めて、より適切なチーム編成ができる可能性は高まるはずです。

佐藤:「誰がどのプロジェクトに参加したか」を把握するだけに留まらず、各社員が担当した領域を詳細に可視化することが、個の強みを発揮できる最適なチームづくりにつながる。確かに、加藤さんがおっしゃったようなクレジット管理の観点を取り入れることで、タレントマネジメントの精度と価値をさらに高められそうですね。

CEKAIでは、さまざまな得意領域を持ったクリエイターが活躍されています。互いのクリエイティブネスを磨きあうような職場環境や制度があったりするのでしょうか。

加藤:逆に、制度や仕組みのようなものをあえて設けていません。みんな縛られるのが嫌いですから。唯一の決まりごとは、「熱量を持つこと」です。クリエイターには、自主性を持ってやりたいことを自己責任で仕事に取り組む姿勢を求めています。

たとえ未経験の分野であっても、その仕事をやりたいという熱量やモチベーションを大事にして仕事を任せる。そのようなカルチャーがあるからこそ、個々のクリエイター同士が頼り合える組織ができるし、クリエイター一人ひとりの領域を広げていけると考えているのです。そこから領域の越境や横断が生まれます。 

その理念は、CEKAIという名前にも現れています。CEKAI(世界)には「分野」や「領域」といった意味がある。クリエイティブの世界は、ディレクションを担当した人、監督した人が「すごい」と思われがちです。しかし、文字配置で0.01ミリにこだわり抜くクリエイターの存在も、クリエイティブには欠かせません。一人ひとりが異なる領域でプライドを持って制作に携わっていて、その領域では「誰が偉い」みたいなこともありません。それぞれが尊重される、それぞれの世界があるのです。その世界同士をつなげていく、そのような思いが、CEKAIという名前に込められています。

佐藤IWIのようなIT企業でも、全く別領域、未経験の仕事を任せてみれば、新たな創意工夫が生まれるかもしれません。今まで培ってきた経験や技術をどう活かすか。試行錯誤してもらうことで、社員のクリエイティビティを刺激していきたいですね。

海外の大手IT企業と比較して、日本のIT企業はクリエイティブの素養が育っていないと感じます。その理由は、「未経験の仕事に対して手を挙げにくい」という、日本企業ならではの雰囲気にあるのではないかと考えています。

IWIには、若手や外国籍の社員をはじめ、多様な人財が揃っている。私としては、社員一人ひとりの挑戦を支援していきたいし、会社でやりたいことがあれば積極的に手を挙げてもらいたいと思っています。そのためにはまず、「挑戦してもいいのだ」と社員が思える企業風土作りが必要です。

その一環として、沖縄の宮古島でワーケーションを実施する予定です。社員には自然の中でリフレッシュすることで、自分らしい働き方、自分らしい人生とは何か考えてほしい。働く環境を変えることで、新しい気づきを得てもらえたら最高ですね。役員の皆さんにもワーケーションを体験して欲しいです。

加藤:素晴らしい取組みだと思います。そういえば、佐藤さんは今日かりゆしウェアをお召しになっていますね。お似合いです。

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佐藤:ありがとうございます(笑)。実は沖縄に、株式会社ODNソリューション(以下、ODNS)という、IWIの関連会社があります。ODNSは、長年に渡り決済インフラを支えるシステム開発会社。IWIからも多くの仕事をお願いしており、開発パートナーとして欠かせない存在です。ODNSとワンチームで決済インフラを手掛けていくこと、そのことを社内外に広くアピールしたいと考え、暑い日には私自ら「かりゆしウェア」を着て仕事をしています。着心地がよく快適で、爽やかな気分にもなれてお薦めです。

振り返れば、IWIの社長に就任して最初に始めたことはドレスコードフリーの推進でした。今では、パーカーやTシャツを着て業務に当たるエンジニアも少なくありません。社員には服装ひとつからも、自分らしい働き方を見つけてもらいたいですね。

CEKAIは海外からも高く評価され、案件を獲得されています。IWIも「海外事業推進室」を新設するなど、海外進出に意欲的です。例えば、日本で評価されるクリエイティブと、海外で評価されるクリエイティブ。両者に違いはあるのでしょうか。

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加藤:CEKAIにはUS法人があり、井口がNY在住で代表をしていますが、やはり海外では、シンプルで分かりやすいインパクトのあるクリエイティブが好まれると感じます。日本はその反対。作品の裏側も含めた奥ゆかしさや、ハイコンテクストな作品が評価されるのではないでしょうか。

アメリカなど、海外での取引を始めていく中で印象的だったのが、「何が作れるかではなく、何がしたいのか聞かせてほしい」と求められることでした。会社としてどのようなビジョンを描いているか、それを示せないと評価してもらえないという、ビジョン重視の文化があると感じています。

佐藤IWIも、これまで何度か海外展開に挑戦してきました。その経験から学んだことは、加藤さんがお話されたこと、まさにそのままです。ただ製品やソリューションを紹介するだけでなく、会社として何がしたいのか、明確なビジョンを示す必要があります。社員自らの力で、海外にパイプを築きあげ、人と人同士の関係性を強固にしたうえで、IWIならではのビジョンを共有する。それが、海外展開を成功へと導く鍵になるのだと確信しています。

IWIに集まった、ODNSやビジネスパートナーの皆さんと一緒になって、IWIを海外からも高く評価されるチームにしたい。今日、加藤さんの考え方をお聞きしたことで、たくさんのヒントをいただけました。CEKAIさんのように個の強みを発揮できる、やりたいことがあれば自ら手を挙げられる、そんな風土を育てていきたいですね。

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