IWI
search

検索SEARCH

製品ページ内検索

製品以外のサイト内検索

×

【IWI×ビルコム対談】
自社ならではの強みを創り出し、社会に新たな価値を提示する

「統合型PRソリューション」を軸に、多様なクライアントのPR戦略支援を行うビルコム株式会社(以下、ビルコム)。2016年からサービス提供しているクラウド型PR効果測定ツール「PR Analyzer®」は、大手企業を中心に導入が進むなど、PR Tech界を代表する存在へと成長しています。同社の代表取締役兼CEO 太田滋氏(以下、敬称略)と、株式会社インテリジェント ウェイブ(以下、IWI)代表取締役社長 佐藤邦光が、特化領域での強みを持つ企業ならではの戦略や、強みをもたらす組織作り未来に向けた思いなど、さまざまなテーマについて語り合いました。

佐藤 邦光(さとう くにみつ)


株式会社インテリジェント ウェイブ 代表取締役社長
佐藤 邦光(さとう くにみつ)

2020年9月にインテリジェント ウェイブ社長に就任。次世代の情報化社会に向けて、「決済、金融、セキュリティ分野を含む様々な企業のビジネスリライアビリティ(※)を支えるITサービス会社」になることをミッションとする変革をスタートさせる。社員と、会社の将来はどうあるべきかを議論しながら、従来の延長線にはない変革を常に求めている。また「働きやすさ」と「働きがい」を追求する多様な働き方と多様な人財の活躍の推進を通じて、新たな挑戦や創造を生み出す組織づくりを進めている。“世の中を変える”、“未来を創り出す”という実感を挑戦の醍醐味としており、新たな挑戦を通して、持続可能な社会に貢献し、社員と会社の成長の実現を目指している。

(※)ビジネスリライアビリティ:顧客事業の信頼性および自社事業の信頼性を高め続けること。(当社の造語)

加藤 晃央(かとう あきおう)


ビルコム株式会社 代表取締役兼CEO
太田 滋(おおた しげる)

博士(経営管理)。青山学院大学大学院国際マネジメント研究科国際マネジメントサイエンス専攻一貫制博士課程修了。Stanford-NUS Executive Program in International Management修了。

株式会社アイ・エム・ジェイ、ソースネクスト株式会社を経て、2003年にビルコム株式会社を創業。市場創造と評判形成に貢献する次世代PRを掲げ、マスメディアのみならずWebSNSを含めた統合的なコミュニケーション戦略を手掛ける。2009年には、口コミマーケティングの健全なる育成・啓発を支援するWOMマーケティング協議会を立ち上げ初代理事長を務めるなど、業界の発展に貢献する活動にも努める。2019年より青山学院大学国際マネジメント学術フロンティア・センター特別研究員。2020年〜21年に青山学院大学大学院国際マネジメント研究科にて寄付講座を実施。著書に「WebPRのしかけ方」、 「広告をやめた企業は、どうやって売り上げをあげているのか。」がある。

ビルコムの事業について、改めてご説明ください。

IWI-BILCOM_1

太田:ビルコムは、主に事業会社様の広報や宣伝、マーケティングの担当部署に対して、統合型PRソリューションを提供している会社です。具体的には、統合型のPRコンサルティング、SaaS型の自社製品「PR Analyzer®」の提供、国内唯一の広告媒体データベース「月刊メディア・データ®」の発行という、3つの事業を柱とし、さまざまな企業様・ブランド様のPR支援をさせていただいています。

佐藤:IWIも現在、PRに関する業務をビルコムに支援いただいていますが、PR活動がいかに大切なのか、実感している次第です。ビルコムの特長はやはり、データやIT技術の活用という点ですね。それを製品化した「PR Analyzer®」をはじめとするPR分析サービスに着手された背景を教えてください。

太田:私はビルコムの創業前を含め、約20年間PR事業に従事してきました。その中で、広報やPR業界が抱える課題を解決したいという思いを強く抱くようになったのです。具体的には、不透明・不確実・非効率、3つの「不」が、PR業界の課題として存在していたと考えています。

PR業務は、その成果や活動プロセスが不透明になりがちなことに加えて、そもそも成果が出るかどうかは不確実という特徴もあります。また、アナログで非効率な業務が多く、広報担当者の手作業に頼りがちな点も課題の1つでした。

こうした3つの「不」を解消するには、データやテクノロジーを用いた分析が必要不可欠。「PR Analyzer®」をリリースした背景には、そのような思いがありました。

PR Analyzer®」は、クリッピングから分析、レポーティングまで一元化するクラウド型PR効果測定ツールです。テレビ/新聞/雑誌のほか、WebからTwitterFacebookといったSNSまで、PRの効果を測定できます。記事が読まれた数やSNSでのシェア回数、さらには記事に対する反応が肯定的か否定的かなど、多角的な分析を行えるツールとして、多くのお客様にご利用いただいています。

IWI_BILCOM_2

佐藤:データを用いたPR分析に関わる事業について、国内ではビルコムさんが先駆けであると認識していますが、海外では以前から存在していた事業だったのでしょうか。

太田:「データを用いてPR成果を可視化する」といった事業領域は、欧米では十数年前から存在していました。その背景には、国土や文化の違いからくる必要性の差があったと考えます。例えばアメリカの場合、国土が長大な上に時差もあり、主要な都市が分散していますよね。それに対して、日本は東京一極集中。PR業界の場合、大手町まで行けば、主要な新聞社のオフィスをまとめて訪問できてしまいます。

記者とのコミュニケーション一つとっても、「メールや電話よりも対面」という日本の商習慣が色濃く残っていた。こうした背景もあって、日本は諸外国と比べて、データを用いたPR成果の可視化が、進んでいませんでした。

そうした背景の中で私たちビルコムは、2016年に「PR Analyzer®」をリリースしました。2022年現在から見ると、日本国内でもPR効果測定ツールはいくつか存在しますが、先駆けは私たちビルコムの「PR Analyzer®」であったと認識しています。

佐藤自社でエンジニアを雇用し、プロダクト開発をされている点も、御社の特色だと思います。外注ではなく、自社でプロダクトを開発する利点は、どのようなところにあると考えていますか?

太田:ビルコムには現在、約10人のエンジニアが在籍しています。私たちはアジャイル型で開発を進めているので、お客様の声を素早くプロダクトへ反映できる体制にあります。

仮に開発を外注していた場合、新しい要望がある度に見積もりや意識のすり合わせが必要になってしまう。スピード感ある対応ができるのは、自社でエンジニアを雇用する大きなメリットといえます。エンジニアのモチベーションという観点においても、お客様の反応をダイレクトに受け取り、サービスへ反映できることは、良い影響になっていますね。

PR領域におけるデータ分析」という強みがあるビルコム同様、IWIも「決済システムのフロントエンド処理」という、特化した領域での強みがあります。特化した領域、専門性を持つ企業ならではのやりがい、難しさなどあれば教えてください。

IWI_BILCOM_3

佐藤:私が常に意識しているのは、450人というIWIの規模を最大限活かすことです。

その第一が、人づくり、人を育てることです。

IWIは、創業から38年もの間、決済インフラを支え続けてきました。38年間、強い責任感でひたむきに、お客様と向き合い続けてきた。その結果、お客様からの信頼や実績を積み重ねることができました。もちろん、技術力も不可欠ですが、IWIの最大の強みは人にあると私は思うのです。社員一人ひとりが持つ責任感こそが、最大の強みではないか。人を育てれば、そこから必ず事業は育っていきます。

450人規模の会社であれば、人財育成や働き方改革などの施策が迅速に実行できます。例えば、公的資格や最新技術に関する資格取得奨励、社員が自主的に始めた読書会、ワーケーションの導入など色々なことを行っています。創業者の発案で若手社員向けに人間力強化(未来を見つめチャレンジ精神を身に付けた人財になる)の研修を20年間以上続けています。普遍的なことも大切にしながら、従来の考え方に捉われずにアジャイル的にトライし、社員の満足度を高めていきたいと思っています。

IWIは、“時代を新しくする衝撃波(ウェイブ)の震源地に立つ”という想いから事業を開始し、震源地になくてはならない存在になるためのプロダクト開発に力を注いできました。今では、プロダクトをオンプレミスだけでなく、クラウドサービスとして提供しています。これからは、コンサルティングや決済に関わる業務運用といった領域にも事業を拡げていきたい。そうすることで、製品の価値だけでなく、IWIという会社自体の信用価値を向上させられると考えています。コンサルティングや運用まで事業領域を拡大する背景には、若手社員が活躍するフィールドを広げたいという思いもあります。

IWIならではの人財育成システムを確立させることができたなら、社員の成長はもちろん、長い目で見ればIWIの企業価値向上にもつながるのではないかと思っています。

社員の成長には、何事も自分事として捉え、自らが学び、自分の力でやってみることが大切です。ビルコムにPR支援をお願いしている理由の一つに、PRにおいても、IWIPR担当が自走できるよう、伴走してくださる点があります。その点に大きな価値を感じていますし、私もビルコムに信頼を置いています。

IWI-BILCOM_4

太田:ありがとうございます。お客様に対してより高い付加価値を提供する。そのためには、自分たちが持つ価値を向上させ続けなければなりません。ビルコムが提供できる価値は何か、我々が持つ独自性は何か、といったテーマについては、社内でも常日頃から議論を重ねています。IWIでは、新しいサービスを生み出すなど、事業領域を広げるにあたって、どのようなことを意識されていますか。

佐藤:軸にあるのは、「IWIにしかできない事業をやる」ということに他なりません。IWIは決済インフラにおいて、38年間その分野における特化した技術を培っています。そうした強みを活かし、新たな領域についてもビジネスを広げていくため、量子コンピュータやブロックチェーンといった関連技術を学んだり、社内で新規事業コンテストを開催したりと、多様なチャレンジを行っています。今年度からは新規事業コンテストで選ばれたテーマは、まだ構想段階であっても、希望すれば100%そのテーマに従事することができる制度を作りました。社員には起業する気概を持って挑戦してほしいです。

IWI-BILCOM_5

ここまで、両社の強みや強みを創り出す取組みについてお話しいただきましたが、経営トップであるお2人の出会いについてお聞かせください。

太田:佐藤さんとお会いしたのは、2019年の秋ごろ。デジタルビジネス・イノベーションセンター(DBIC)が主催する、経営幹部が対象の欧州視察ツアーへ参加したときでした。ツアーの中でワークショップがあったのですが、佐藤さんと同じチームになったのです。

佐藤:そのワークショップで、太田さんが大活躍してくれた。ツアーの最後に、参加者の前で感想を述べる機会があったのですが、私は「最大の成果は太田さんに出会ったことです」と述べました(笑)。それくらい、印象深い出会いだったのです。

太田:欧州視察やその後にご一緒した食事会で、佐藤さんが「会社にぜひ伺いたい」と何度も言ってくださりました。こうした話は社交辞令で終わることも多いですが(笑)、佐藤さんはビルコムのオフィスまで本当にいらっしゃった。佐藤さんの人柄に、強く感動したことを覚えています。

IWI-BILCOM_6

佐藤:その会社の文化や社風をしっかりと理解するためには、やはり直接オフィスにお伺いすることが一番です。私は太田さんをはじめ、創業者の方々をとても尊敬しています。ぜひお話を伺い、そのエッセンスをIWIの経営にも取り入れたいと思っているので、今回の対談からも非常にたくさんの学びを得られました。

ビルコムでは全社共通の行動指針としてのバリュー「ビルゲン」というものを掲げられていますね。その中に「一枚岩の最強組織」という言葉があります。一方で、多様性の大切さについて言及されているインタビューも拝見しました。言葉だけ並べると、「一枚岩」と「多様性」は反対にあるもののように見えます。改めて太田様が考える、強い組織の在り方についてお聞かせください。

IWI-BILCOM_7

太田:「一枚岩の最強組織」は、社内でも非常に人気の高いフレーズですね。ビルコムは、各社員の多様性を尊重しています。ただし、それは性別や国籍といった、「属性」だけの話ではない。意見の多様性を確保することこそが最重要だと考えているのです。

一方で、会社の方針を示すミッションやバリューについては、全社員が同じ価値観を共有している事が、強い組織づくりにとって大切です。ビルコムでは、全社的なミッションとして「共感あふれる未来をつくる」、バリューとして「ビルゲン」を掲げています。ミッションやバリューについては一枚岩で価値観を共有するが、意見や属性は多様であるべきだ……。「一枚岩の最強組織」には、そのような思いが込められています。

佐藤:ひと昔前と違い、今の時代における一枚岩とは、目に見えない企業使命や価値を皆が認識し、共感できている状態ですよね。属性や意見、業務を行う場所や時間が異なるとしても、目に見えない価値観が共有されていることが大切なのだと思います。

ところで、ビルコムのオフィスでは、「ビルゲン」が記載された張り紙を、様々なところで見かけます。こちらには、どのような意図がおありなのでしょうか。

太田:この張り紙を掲出しているのは、社員が「ビルゲン」に接する機会を増やしたいという思いからです。社員とビルゲンとの接点を増やすことで、理念が全社的に浸透していくことを期待しています。「ビルゲン」を見て入社を決めてくださる方がいたり、会議や面談の場で話題のきっかけになったりと、露出を増やすことによるメリットは日頃から感じていますね。

IWI-BILCOM_8

これからの展望についてお聞かせください。

太田:今は、広報やマーケティングの対象が「マス」から「個」へと変わりつつある時期であると捉えています。TwitterInstagramTikTokといったSNSの普及に伴い、テレビや新聞など従来型のメディアが主流だった時代と比べ、個人の持つ影響力が爆発的に増しています。

当然、ビルコムのソリューションに関しても、時代に合わせた変容が求められている。「PR Analyzer®」は、これまでテレビや新聞といったマスメディアを対象に分析機能を提供していました。しかし近年、「YouTubeSNSの分析がしたい」というお客様からのニーズが増えています。「PR Analyzer®」については、既にTwitterFacebookの分析機能をリリースしており、現在はYouTubeを対象にした機能を開発中です。

もう1つの軸は、海外メディア分析のニーズに応えること。「PR Analyzer®」を利用されるお客様の中には、海外に事業を展開されている大手企業様も多い。「海外向けのPR活動についても効果を可視化したい」という需要に対して応えられるよう、開発を進めています。

将来的には、PR効果やプロセスを可視化するだけでなく、大元のPR戦略領域での支援にも取り組みたいですね。

佐藤:太田さんはPR支援を通して、世の中、社会にどのような影響を与えたいですか。

太田:ビルコムのミッションにも掲げていますが、私は「共感あふれる未来をつくる」ことを一つの目標にしています。

今の時代は、共感を得にくい世の中だと感じます。街並みから企業、製品まで、すべてが均質化していった結果、まだ世の中に広く知られていない優れた製品やサービスが、知られないまま、あるいはその価値を勘違いされたまま、埋もれていってしまう。キラリと光る価値を私たちが見つけて、世の中に届けることで共感が生まれ、モノやサービスが売れていくような社会にしたい。頑張る一人ひとりの努力が報われる社会をつくりたいという思いは、ビルコムを創業した当初から変わらず持ち続けています。

ビルコムの役割は、PRを起点とした統合型マーケティングの提供を通して、商品やサービスに込められた思いや努力といったものを広く発信することです。国際社会から企業と生活者、世代、ジェンダーまで、さまざまな断絶が起きている世の中を、共感あふれる社会に変えていきたいと考えています。

IWI_BILCOM_9

佐藤:私は、IWIにおいて、世の中を変える、未来を創り出すという創業以来の志を果たしたい。「時代を新しくする衝撃波の中心に立つ」という思いは、「インテリジェントウェイブ」という社名にも現れています。

IWIは創業以来、決済インフラを支え、真摯に顧客に向き合った結果、信頼と実績を築いてきました。今後はそれらを土台に、自分たちにしかできないサービスを提供することで、社会に対して新しい未来を提案したいと考えています。

そのためには、IWIという会社を広く知ってもらう、つまりブランディングやPR領域の取組みも欠かせません。ビルコムには、今後も是非ご協力いただけたら嬉しいですね。

IWI-BILCOM_10

関連リンク