Atos QLMは、ハードウェア非依存型の
「量子ソフトウェア開発環境」です。
Atos社のQuantum Learning Machine(QLM)は、量子ハードウェアのベンダーロックインを回避するユニバーサルな量子プログラミング環境とシミュレーターを備えた、先進的なアプライアンスです。シンプルなビジネスサーバーの物理的な次元で、最大40キュービットをシミュレート可能です。
来たる量子革命の時代に備えるシミュレーター
Atos Quantum Learning Machine(以下、Atos QLM)は、量子コンピューターの物理法則を正確にシミュレートします。そのため、エンジニアは量子ノイズ、量子デコヒーレンス、パフォーマンスなどに課題が残る既存の量子プロセッサに悩まされることなく、アプリケーションとアルゴリズムの開発に集中できます。
量子アニーリング、超電導キュービット、トラップイオンなど、各社様々な技術で量子マシンを開発していますが、Atos QLMではユニバーサルな量子プログラミング環境を採用しているため、特定の量子ハードウェアに制約されることなく、量子アプリケーションの開発を行うことができます。Atos QLMで開発された量子アルゴリズムは、将来リリースされる、あらゆるメーカーのあらゆる量子コンピューター上で実行可能です。
HPC(ハイ・パフォーマンス・コンピューティング)の先を行く、量子コンピューティングの開発にいち早く着手しませんか。
Atos QLMの5つの利点
01|量子ハードウェアに依存しない
作成したコードは、そのままあらゆる量子コンピューターで実行可能
Atos QLMは、ユニバーサルな量子プログラミング言語(AQASM、Atos Quantum Assembly Language、Pythonに基づく量子ハイブリッド言語)を採用しているため、特定のハードウェアによるロックインを回避します。作成したコードは、既存もしくは将来の量子コンピューターにおいてコードを変換することなく利用することが可能です。
02|拡張性と将来への対応
30キュービットからスタートし、40キュービットまで容易にアップグレード
キュービット数が多ければ多いほど、多くの演算を行うことができ、その結果からの確率的観測結果となるので計算の信頼性が高くなります。
03|使いやすいフレームワーク
まずはJupyter Notebookのチュートリアルで学習
Jupyter Notebookのチュートリアルにアクセスして、独自の量子回路のプログラミングを始めることができます。統合量子アルゴリズム、QLIB(量子演算ライブラリ)も備わっています。
04|他社フレームワークとの相互運用性
今お使いのプログラミングフレームワークとの相互接続
主要な他社プログラミングフレームワーク(Qiskit、Cirq、PyQuil)との相互運用性があります。独自のコネクタを開発することも可能です。また、Atosが提供する量子プログラミング言語で書かれたコードを実機に投げる手順は非常に簡単です。コード開発者は、Atos QLMを使用する場合、qpuクラスを使用してコードを実行するエミュレーションエンジンを宣言します。例えば、LinAlgエミュレータを使用する場合は、qpu=LinAlg () のように記述します。
05|ノイズシミュレーション
NISQ時代における量子コンピューティングの実用化を促進
マシンに採用される量子技術(超電導キュービット、トラップイオンなど)によって、ノイズに対する感度は異なります。量子ソフトウェアの設計者は、Atos QLMを用いて、ノイズに対するソフトウェアの堅牢性を理解し、アルゴリズムが最適に機能する量子技術を決定できます。また、より高いエラー耐性を備えた量子ソフトウェアの開発及び最適化が可能です。
Atos QLMが提供する3つの機能
AQASMもしくはパイソンライブラリを利用可能な pyAQASMでプログラミングし、必要に応じて量子回路を最適化した後に、シミュレーションを実行します。
プログラミング
汎用的な量子プログラミング環境
最適化
プログラマーの負担を軽減する量子回路最適化
シミュレーション
ゲート方式からアニーリング方式まであらゆる量子マシンのシミュレーションが可能
量子古典ハイブリッドコードの構築が効率的
Atos QLMでは、QPUエミュレーターと古典コンピューターを1つのアプライアンスで実行できるため、量子古典ハイブリッドコードの構築が効率的です。
Atos QLMのユースケース
その他、製造業、公共部門、医薬、エネルギー(石油・ガス・電気)、通信・メディアなど、あらゆる業界における量子コンピューティングの研究開発にAtos QLMは活躍しています。
組み合わせ最適化の問題 | •トレーディング戦略の最適化 •ポートフォリオの最適化 •クレジットスコアリングにおける最適な特徴選択 | ゲート及び、アニーリング両方のアプローチでシミュレーション可能 |
量子機械学習 | データ分類 •クレジットスコア •不正検出 回帰分析 •金融サプライチェーンマネジメント ニューラルネットワーク訓練 •信用リスク分析 •市場予測 主成分分析 •ポートフォリオの最適化 | スターアルゴリズム •量子主成分分析 (PCA) •Quantum Support Vector Machines (SVM) (量子サポートベクトルマシン) •Harrow-Hassidim-Lloyd (HHL) アルゴリズム •Variational Quantum Linear Solver (VQLS) (変分量子線形ソルバー) |
確率モデリング | 財務リスク評価 •金融派生商品のプライシング (オプション・プライシング) •ブラック・ショールズの式はシュレーディンガーの式から導かれる | スターアルゴリズム •量子振幅推定 (QAE) •量子モンテカルロ (QMC) •量子ランダムウォーク |
サイバーセキュリティ | 量子コンピューティング •ブロックチェーンと暗号通貨のための量子暗号 •暗号解析 | 暗号解析 •ショアのアルゴリズム •Variational Quantum Factoring (VQF) |
クラシックコンピューティング •量子安全暗号 | ||
量子通信 •金融取引を安全にする量子暗号 •Quantum Key Distribution (QKD) (量子鍵配布) •量子乱数ジェネレータ (QRNG) |
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量子回路の特性に応じて選べる多様なシミュレーター
シミュレーターの性能はゲート数やキュービット数など、利用する回路によって大きく影響されます。Atos QLMでは、以下複数のシミュレーションアルゴリズムを提供しています。
Linalg (線型代数学) | 汎用シミュレーターでは、ゲート数を増やしてもゲート別のシミュレーション時間が増えない事がメリットです。ただし、キュービットが増えるとメモリ使用量が増え、実行時間も指数関数的に増えます。キュービットが少ないシミュレーションに適しています。 |
Feynman (ファインマンの経路積分) | キュービットが増えても、メモリ使用量が少なくてすむこととゲートが少なければ処理時間が短くなることがメリットです。ただし、ゲート数が多いと実行時間が指数関数的に増え、また、最大アリティ3のゲートに限定されます。アリティはゲートが処理できる入力キュービット数になります。 |
Stabs (クリフォード代数) | 大規模なキュービットのシミュレーションを可能とし、量子誤り訂正回路に有用です。キュービットが大きくてもシミュレーション出来るメリットがありますが、利用できるゲートは限定されます。(利用可能なゲート:CNOT、H、S、X、Y、Z、CSIGN、SWAP) |
MPS (行列積状態) | もつれの少ない回路に適していて、低いもつれの場合は最大1000キュービットのシミュレーションが可能です。ただし、最大アリティ3のゲートに限定され、完全なもつれの回路に関しては、メモリ使用量がリナルグの4倍程度になる可能性があります。 |
その他サービス
Atos QLM E
Atos QLM EはGPUアクセラレーションによるAtos QLMの新シリーズです。ハイブリッド量子古典アルゴリズムシミュレーションのコンパイル時間を大幅に短縮するよう最適化されており、応用研究の迅速な進展に貢献します。
- ・量子シミュレーションを最大12倍高速化
- ・NISQ時代に最適な変分アルゴリズムに最適化(最大30量子ビット)
- ・QLMからQLM Eへ簡単にアップグレードし、拡張機能を利用可能
myQLM
世界で最も強力な量子シミュレーターのプログラミングフレームワークを使用し、ご自身のノートパソコンで量子プログラミングの機能を無料でお試しいただけます。myQLMの利用をご希望の方は、当社の問合せフォームからお問合せください。
Atos QCエキスパート・チームが提供する先進的なサービス
量子コンピューティングの発見、関連するユースケースの検出、Atos QLMシミュレーターによる量子実装のメリット評価で、お客様をサポートします。
よくあるご質問・ご相談
Q1.
Atos QLMを導入前に評価版の準備・実施(PoC)での利用は可能ですか?
A1.
評価頂くために、ご自身でお使いのPCにインストールして利用できるmyQLMを無料で提供しております。一部機能が制限されますが、Atos QLM 同様、アルゴリズム開発が可能となります。myQLMの利用をご希望の方は、当社の問合せフォームからお問合せください。
Q2.
量子コンピューターを提供している競合と比較した、Atos QLMの優位性を教えてください。
A2.
Atos QLMは量子アルゴリズムの開発と、量子プロセッサのエミュレーションを行うための専用アプライアンス製品です。Atos QLMは、どの量子コンピューターでも利用できることを目的に開発されており、汎用量子言語のQASMをベースにAtosで手を加えたAQASMと、パイソンライブラリを利用可能なPyAQASMにより、量子アルゴリズムを開発しています。また、実機の量子コンピューターが無い場合でも、様々なノイズシミュレーションを実施でき、膨大なコストをかけずにお試しいただくことが可能です。この類の製品は他にはないと考えています。